その時、小倉さんにはうまい某とは全く関係の無い彼氏がいた。
これが後の伏線になるのだが、当時の俺には知る由もなかった。
閑話休題。
地元を出てから約一年半。
自分一人だけ遠い東京で暮らしていて、文章であらわす事のできない妙な疎外感を、俺は感じていたんだ。
当然ネットや電話で繋がってはいるけど、だけど実際に会えるのなんか一年に一回くらいで、地元組で集まって何をした、みたいな話を聞く度、その疎外感は増していった。
元は自分から始まったこのうまい某の輪で、自分独りだけが取り残されたような感覚。
自分だけが、進む時間の止まっているような。
メンヘラに良くある被害妄想なんだろうけど、それが俺には耐えられなかった。
そんな想いがあってからの、小倉さんからのメモ帳。
暗に
『おまえはもう要らない』
って言われた気がした。