【※想定外※】格安物件の男部屋に超かわいい幽霊が出た結果・・・え?幽霊と〇〇〇できちゃうの!?

格安物件の男部屋に超かわいい幽霊が出た結果・・・

え?幽霊と〇〇〇できちゃうの!?

この世には格安物件というものがある。

そういった物には大抵曰く付きなものがおおい。

殺人や自殺があった部屋だったり

特に理由はないが構造上不便があったり

お化けが出るとか・・・

俺が引っ越した部屋もその部類のものだった。


「さて・・・家具の配置は完璧。
 ダンボール開けるのは明日でいいや」

俺は今日この部屋に越してきたばかりだ

時刻は1:58

男「早く寝ないと・・・」

一番最初にセットしておいたベッドに潜り込む。

今日は一日中重労働だったので腰が痛い。

男「あ~ててて・・・全身重いや・・・」

電気を消して全身の力を抜く

今日も一日がんばった

これからは一人暮らs・・・

そう、俺は一人暮らし

この部屋には俺以外誰もいない

もう一度目を開けると

視界の隅になにか居た・・・

いや、目を開ける前に
気配でなんか居るのには気がついた

さらに俺はこの部屋の契約の時の
やり取りを思い出した・・・

数日前

大家
「いや~いいんですか?この部屋で?」


「だって家賃くっそやすいじゃないですか」

大家
「何度も言いますけど・・・
 この部屋・・・出るんですよ」


「俺はアンチ幽霊派なんで」

大家
「それなら・・・いいですけど・・・」

幽霊は確かに居たよ

でも俺の中で幽霊を認める訳にはいかない

俺は意識を睡眠に集中して全身全霊で眠った

明日の朝になれば奴は消えてるだろう・・・

対策はそれからだ・・・

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翌朝

男「ふぁぁぁぁぁぁああああ!!!」

あくびからの絶叫

居た・・・今視界に絶対幽霊居た

朝日が差し込むこの部屋に

俺の中の知識ではお化け的なものは
日光に弱い・・・はず

なのに奴は笑顔で立っていた

横目でその姿を確認する

若い女だ・・・

それも身なりがそれなりに綺麗だ

俺のお化けイメージが崩れる

いや、お化けっぽくないってことは・・・

男「お化けじゃない!」

おっと、思わず声に出てしまった

だが、奴がお化けじゃない可能性は高い

いつの間にか侵入した変態野郎の可能性もある

男「おい!お前!」

女霊「はい?」

あ、喋れるんだ・・・

男「お前は何者だ!?」

女霊
「えっと・・・
 見ての通り幽霊ですが・・・?」

幽霊だったぁぁぁぁぁ!!!

普通に話しかけちまったぁぁぁ!!

くそ・・・

俺はアンチ幽霊派なのに今一瞬
幽霊の存在をこの身で実感してしまった

いや・・・まだ奴が幽霊という確証はない

俺の幻覚という可能性もある・・・

これなら昼間に見えてもおかしくないし、
喋れることも・・・不思議じゃない

俺は奴を幻覚と思って生活することにした

まずは着替えなくては・・・

男「・・・・」

幽霊が興味深そうに俺の着替えを観察している

男「・・・・・っ!」

我慢だ・・・我慢だ・・・

着替え終わる頃には
幽霊はすぐ隣にまで接近していた

男「幻覚・・・幻覚なんだ・・・」

女霊「幻覚ではありませんよ?」

男「幻覚だぁぁぁぁ!!」

俺はいつの間にか
薬物を盛られたに違いない・・・

今日は講義があるので
学校にいかなければならん

準備をして家を出る

女霊「いってらっしゃーい」

幽霊が笑顔で手を振っていた気がするが
恐らく幻覚だろう

幻覚だ・・・

だが、見えてしまうものはしょうがないので
帰りにお札を買ってくることにした

時刻は午後の6時

気合を入れてお化け屋敷へ突入する

ガチャ・・・

女霊「あ、おかえりなさ~い」

いる・・・幻覚だけどそこにいる

俺が持ち込んだ漫画雑誌を読んでいる

てか、物に触れんのかよ

俺は幽霊を無視してベッドの周りに
お寺で教えてもらった結界のお札を貼っていく

女霊「ん?なにをしてるんですか?」

幻聴だ・・・

程なくして結界は完成した

ここのベッドは不可侵領域となり
悪霊から俺を守ってくれるはずだ

女霊「なんです?これ~?」

お札をいじるな

男「・・・・・」

なんだか効果がなさそうだが
俺は幻覚を無視して夕食の準備をする

と、言っても米を炊いて
缶詰をおかずに食べるだけだが・・・

女霊「わぁー!美味しそうですねぇー!」

男「やらねぇよ」

おっと幻覚に答えてしまった

女霊「もらいませんよぉー」

テレビを見ながら夕食を食べる

ちょうどいつも見ていた
バラエティー番組がやっている

男「ふふっ・・・」

俺がテレビを見て笑っている隣で

女霊「面白いですねー!」

幻覚が話しかけてくる

男「・・・・」

黙ってチャンネルを変える

女霊「ああ~っ!」

残念そうな幻聴がきこえる

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すると

女霊「今見てたんですっ!」

元のチャンネルに戻された

男「・・・・・」

一人暮らしなのに
見たいテレビが見れないとは・・・

ただ、幻覚のせいなので文句は言えない

男「おわっ!!手が滑った!!」

わざと裏拳を繰り出すが

スカッ

幽霊の体を手がすり抜けた

実態があるのかないの分からん

女霊「わっ!あぶないじゃないですか~!」

あぶない存在がなにをいう・・・

白い着物のそいつは楽しそうに
テレビを見ている

男「・・・・」

面白く無いので寝ることにした

女霊「え?もう寝るんですか?」

幻覚がしつこいが・・・

今は寝るのが一番だ

ベッドに潜りこんで寝る

女霊
「ふぁ~っ・・・
 私も眠くなっちゃったし・・・
 寝よぉっと」

幽霊も寝るのか・・・?

おっと幻聴に反応してしまった

その時・・・

女霊「失礼しまぁーす・・・」モゾモゾ

奴はベッドに入ってきた

これは流石にびっくりした

男「なななな・・・
  なにやってんだよぉ!?」

もう幽霊でもなんでも認めてやる・・・

こいつは確かにここにいる・・・

それは事実だ

女霊
「あれ・・・?
 やっぱり見えてたんですか?」

俺が必死に無視していたので
向こうも俺が見えないと思い込んだのだろう

男「あれ?結界は・・・?」

女霊「結界・・・?なんですそれ?」

効かないみたいだ・・・

男「で・・・あんたなんなの?」

すると幽霊は不機嫌な顔になって

女霊
「人に何者か聞く時には
 まず自己紹介からだと思いますけど?」

ちょっとイラッとしたが・・・

幽霊のいうことは正しい

男「俺は男だ。男と書いてダン」

女霊「へぇ~・・・男くんね」

男「で、あんたは?」

幽霊はベッドから飛び降りて・・・

女霊
「私はレイコ。
 ここに住み着いている幽霊よ。
 よろしくね」

よろしくねぇよ

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男「地縛霊ってやつ?」

霊子「そんなんじゃないよ」

男「じゃぁどんなんだよ?」

霊子
「一年前に気がついたらここにいて・・・
 でこの部屋から出られなくなっちゃったの」

それって地縛霊なんじゃ・・・


「ここ俺の部屋になったんで、
 さっさと成仏してもらえます?」

正直、邪魔なのだ

こんなんじゃあれやらこれやら
出来ないことがある

霊子「じゃぁ成仏させてよ」

なんですと?

俺はパニックだ

それは・・・

つまりそういうことで
あれがこーでそうなって・・・

むっふっふ~!

男「よろこんで!!」

霊子「え・・・?よろこぶの?」

男「だって・・・あれっしょ?
  成仏ってつまり・・・」

テンションも上がってきた

霊子
「私がなにか心残りがあって
 現世に残ってるみたいだから・・・
 それを解決してほしいの」

男「・・・・・・」

なんだか・・・
テンションあげて馬鹿みたいだ

男「で・・・心残りって?」

霊子「知りません」

男「・・・は?」

霊子「それが分かってたら苦労しませんよ」

なんだか面倒な感じになってきたぞ・・・

男「なんか無いの?あれやりたかった!とか
  この人になんか言うの忘れた!とか」

霊子「特に・・・ありませんね」

無いのかーい・・・

男「じゃぁ成仏出来ないじゃん」

霊子「だから困ってるんですー!!」

泣きつかれても困る

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男「しょうがないな・・・」

俺はベッドに潜り込む

霊子「・・・寝ちゃうんですか?」

男「難しいことは明日だ。・・・今は寝る」

霊子「そうですか・・・」

そういって霊子はベッドに潜り込んで来る

男「なんで!?」

霊子「えっ・・・!?」

男「なんでお前まで入ってくんの!?」

霊子「さっきからあんたとかお前とか
   初対面の人に失礼ですよ!」

なんか説教された・・・

男「あ・・・れ、霊子さん・・・」

霊子「はい!」

満面の笑み

じゃない!そういう事じゃない!

男「霊子さん幽霊なら夜が本番でしょ!?」

霊子「夜が本番とか、
   私そんなに淫乱じゃありません!!」

そういういみじゃない

男「幽霊って夜仕事しなきゃいつするの?
  今でしょ!?」

霊子「幽霊だって眠くなるんですー!
   男さんのは偏見です!」

幽霊って眠くなるのか・・・

男「だからってベッドに入って来ないでよ!」

霊子「なんでですか!?私だって寒いんです!
   このまま寝たら凍死しちゃいます!」

凍死って・・・もう死んでるじゃん

霊子
「大丈夫です!私人には触れないんで
 ベッド狭くなりませんから。
 透けて通り抜けちゃいますから!」

なんか想像すると気持ち悪い・・・

男「俺になにもするなよ・・・?」

霊子「はい!」

また満面の笑顔

この幽霊明るすぎて怖くない

男「じゃぁ・・・今日だけなら・・・」

早速霊子さんがベッドに入ってくる

背中に霊子さんの感触がある

男「ねぇ?俺の背中になんか
  当たってるんだけど?
  透けるんじゃないの?」

霊子「あ・・・服には触れちゃうんで
   出来たら脱いで・・・」

男「やっぱ出てけぇぇぇ!!!」

翌朝

男「・・・・ふぁぁ」

爽やかな朝だ

霊子「おはようございます!」

こいつもなんか機嫌がいい

男「・・・で、霊子さんは結局どこで寝たんです?」

霊子「あ、心配してくれるんですか~?」

ニコニコしてなんか楽しそう

男「凍死するって言ってたし・・・。
  もう死んでるけど」

霊子「ずっと起きてましたよ。」

なんだ・・・さすが幽霊じゃん

霊子
「男さんったら結構寝顔かわいいんですね」

ずっと観察されてたのか・・・

男「俺これから着替えるんで
  後ろ向いてt・・・」

霊子「あぁ~・・・あったか~い・・・」

霊子さんは俺が寝ていたベッドに早速潜り込んでいる

男「寝るんすか・・・?」

霊子「寝ますよぉ・・・・」

もう寝かけてるし・・・

男「早く出ってて・・!!」

スカッ・・・

男「触れねぇんだったぁ~!!」

目の前で霊子さんはどんどん眠りに落ちていく

男「ちょっと!!勝手に寝ないでよ!!」

霊子「いいじゃぁ・・・」

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完全に寝た・・・

男「・・・・まじか」

今日は休みだったので
ベッドを取られるのはきつい

男「とりあえず・・・朝飯買ってこなきゃ・・・」

コンビニ

男「どぉすっかなぁ・・・」

朝飯は適当にパンを買って
レジに並ぼうとすると・・・

手袋が売っていた

男「手袋・・・か・・・」

確か霊子さんは物には触れるんだったよな・・・

その逆もまた・・・

男「これだ!!」

店内の視線が一気に俺に集まった

俺が帰ると霊子さんは
ベッドに潜り込んで寝ていた

男「ベッドを返して下さい」

霊子「スー・・・スー・・・」

聞こえていないのか・・・?

男「返してくれないと・・・
  色々しちゃいますよ?」

霊子「ん・・・?どぉかしました・・・?」

むふふふ・・・

男「ベッド返してくれないと
  色々いたずらしちゃいますよ?」

霊子「一緒に寝ます・・・?」

あ、それには抵抗ないんだ

男「いいからどいてください!!」

今の俺は手袋装備

これなら触れる!

男「じゃぁ・・・
  強制的にどいてもらいます!」

布団に手をかけた時・・・

霊子「あ!手袋~!」

手を・・・厳密には手袋を掴まれた

男「ちょ・・・なに!?」

手袋を奪われる

霊子「手袋欲しかったんですよ~!
   ありがとうございます!」

え・・・・・

いや、あなたのために買ってきた訳では・・・

霊子「冷え症で指先冷たくなっちゃうんですよね~」

男「いや、元々死んでるんだし」

霊子さんはテーブルの上の買い物袋を見て

霊子
「あれ・・・?
 朝ごはん買ってきちゃったんですか?」

男「え・・・?だって腹減ったし」

すると霊子さんは台所を指差して

霊子「なにか作れますよ?」

男「・・・料理ですか?」

霊子「はい」

確かに物に触れるなら料理はできそうだけど

男「材料がないんだけど・・・」

霊子「じゃぁ買えばいいじゃないですか」

男「それって・・・
  買ってこいってことですか?」

霊子
「ご飯作ってあげるんですから
 それくらいお願いします」

いや、それよりも

男「それより成仏することを
  最優先でお願いします」

それを聞いて霊子さんが涙目になる

霊子
「男さんは・・・
 私に居なくなって欲しいんですか・・・?」

男「まぁ・・・そうですね」

霊子「こんなに無害な幽霊なのに・・・?」

泣きながらすがられると少し可哀想な気もする

男「だって・・・
  誰かに見られながら生活するって
  やじゃないですか」

霊子
「そんなじろじろ観察するようなこと
 してませんっ!」

逆ギレされてもなぁ・・・

男「成仏するまでは我慢しますから・・・。
  出来るだけ努力してください・・・」

霊子「成仏するまでは居てもいいんですか?」

なんだそのキラキラした目は・・・

男「俺の寝床は譲りませんし、
  料理出来るっぽいんで
  料理をしてくれるって約束なら・・・」

霊子
「はい!男さんのベッドには
 もう勝手に潜り込みません!
 料理も頑張ります!」

いい感じで平和条約が結ばれて行く

男「あと、俺がハウスって言ったら
  押し入れに入ること」

霊子
「え・・・・・
 なんだかワンちゃんっぽい・・・」

男「嫌ならいいですけど。
  契約は無理ってこt・・・」

霊子
「あわわっ分かりました!
 ワンちゃんのまねごとでも
 なんでもしますっ!!」

やべぇ・・・なんかうまく利用できそうな感じ

男「あとは・・・」

霊子「・・・あの・・・」

なにか言いたそうだ

男「なんですか?」

霊子
「脱いだりとか・・・
 そういうのはダメです・・・」

それは・・・

男「それは・・・脱がせってことですか?」

霊子「ばかっ!!」

べちんっ!!

手袋をした手でビンタされた

男「ぐはっ!」

意外に強くて痛かった

そのまま霊子さんは押し入れに入って
引きこもってしまった

霊子『ばかっ!!変態っ!!』

怒らせてしまった。

調子に乗りすぎたな・・・

結局俺たちは一つの部屋で
共同?生活を始めることになった

男「ただいま・・・」

霊子「あ!お帰りなさい!」

霊子さんはいつも台所に立ちながら
笑顔で出迎えてくれる

男「あ・・・うん・・・」

最初はこんなことになるなんて
思わなかったからなぁ・・・

調子が狂いまくりだ

ポストには宅配便の不在表が

男「霊子さんまた何か買ったんですか?」

霊子
「あ、そうそう。
 宅配便のお兄さんが来たんだけどね、
 『いますー!』って言ってるのに
 ずーっと『おるかー?、おるかー?』って」

最近霊子さんは俺のパソコンを勝手に使って
ネットショッピングをよくやっている

口座は自分のらしいから別にいいけど

電話して荷物を再配送してもらう

霊子「いつもすみません」

男「別にいいですけど・・・
  どうにか工夫して
  自分で受け取れないんですか?」

霊子
「そうですよね・・・。
 そこで今回のお買い物です」

また何か変な物をかったのだろう

前回は変な置物だった

なんか霊が見えるようになる効果があるとか・・・

今回は何を買ったのだろう?

ピンポーン

男「来た」

届いたのは結構大きめのダンボールだ

男「なんですか?」

霊子
「なんだかんだで男さんも
 私のお買い物を楽しんでますよね」

確かに毎回毎回へんな物が
届くことに変な楽しみを感じていた

男「いいから、何買ったんですか?」

霊子さんがダンボールを開けると

霊子「まずはこれ」

男「エプロン?」

身体に当ててクルクルと回る霊子さん

男「それくらいなら料理してもらってる
  お礼に買ってあげるのに」

霊子「男さんセンスないから・・・」

悪かったな・・・

男「で、まだなんかありますけど?」

さらにダンボールには何か入っている

霊子「これですよ。」

出てきたのは目出し帽と全身タイツ

霊子
「こうやって、
 全身タイツを着て目出し帽をかぶれば」

コナンの犯人の完成である

霊子「これなら普通の人にも見えますよね」

男「怪しすぎるわ!」

と、まぁこんな感じで
二人の生活をエンジョイしていた

大抵俺が帰って来るのにあわせて
夕食ができている

男「今日は何なんです?」

霊子「焼き魚です」

香ばしいいい匂いがする

霊子さんが生きていたら
いい嫁になったかもしれない

そう思ったらもうすでに
死んでいることが残念に思った

それに隣の部屋がやけに騒がしい

たしか俺と同じで一人暮らしだったはずだが・・・

ドン!

とりあえず壁ドンで抗議しておく

霊子「ん?なにか怒ってます?」

最近雨ばかりで気がたってるせいかもしれない

男「あ、いや!うまそうだなって
  喜びを体で表現しただけ」

夕食を二人で食べてしばらくテレビを見た後
霊子さんは自室(押し入れ)へと戻っていった

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男「霊子さんは・・・
  もう死んでるんだよなぁ・・・」

あまり考えなっかったが・・・

俺は彼女に直接触れることは出来ない

なぜなら、彼女は死んでいるから

そういえばなんで死んだのかとか聞いたことないな

てか、霊子さんは自分のことをあまり喋らない

いまはもう寝てしまったようだから明日聞こう

時刻は午後11:20

俺も色々やらなければならないし

男「あ・・・?」

また声がする

霊子さんだ

男「まだ寝てなかったんですか?」

答えない

霊子『私は死んだ・・・?』

霊子『なんで?』

霊子『いつ死んだ・・・?』

霊子『どうやって?』

男「おうっ・・・!?」

いつもの明るい霊子さんの声ではない

とても暗く・・・寂しい自問が続く

霊子『嫌だ・・・嫌だ嫌だ嫌だ・・・』

俺は恐怖で声をかけることすらできなかった

翌朝

霊子「おはようございます!」

いつもの霊子さんだ

男「昨日なんであんな独り言
  言ってたんですか?」

正直めちゃくちゃ怖かった

霊子「独り言?」

男「ほら、押し入れに入ってから・・・」

霊子「?」

そのあとも何度も聞いたが
完全に寝ていたらしく寝言だったらしい

寝言でもこえーよ

男「あと、霊子さんって
  元々どこの人なんですか?」

霊子「え・・・・・?どうしてですか?」

男「いや・・・なんか成仏するための
  ヒントにならないかなって」

霊子「えっと・・・・・・」

男「あとは・・・どうやって死んだかとか」

霊子「・・・・・・」

急に暗い顔して喋らなくなってしまった

男「どうしたんですか?」

霊子
「こんなこと言ったら気持ち悪いって
 思うかもしれませんけど・・・」

男「気持ち悪い?」

意を決したように

霊子
「私 生前男さんのこと知ってるんです・・・
 多分」

多分かよ

男「俺を知ってる?
  俺どっかで霊子さんと会ったっけ?」

霊子「実は私生前の記憶が殆ど無くて・・・」

なんじゃそりゃ。

初耳だぞ

霊子「でも夢を見るんです」

男「どんな?」

霊子
「生前の記憶が断片的に夢になってるんです」

ちょっとよく分からない

男「つまり・・・
  霊子さんは殆ど記憶がないけれど、
  夢として時々思い出すって感じ?」

霊子「そう!そんな感じです!」

なるほど・・・

男「じゃぁ自分が何者かとか?」

霊子「分かるのはレイコって名前と・・・」

霊子
「私は死ぬ寸前に男さんの事を
 考えていたんです」

なんか・・・怖い・・・

男「俺は多分霊子さんと
  会ったことなんてないと思うよ?」

霊子「そう・・・ですか・・・」

そう落ち込まんでくれ

男「じゃぁどこに住んでたかも
  分からないんだ?」

霊子
「はい・・・。
 私の為に色々と考えてくれたみたいなのに・・
 すみません」

男「いや、謝らないでよ!
  ・・・まぁそういうことなら
  無理せずゆっくりと」

その時携帯がいきなり鳴った

男「あ?・・・姉ちゃんか」

霊子「お姉さん?」

男「もしもし?」

姉『あ、男?』

姉は嫁いで結構遠くに住んでいる

最近では正月に会ったのが最後だ

男「どうした?」

姉『突然で悪いんだけど。
  今日あんたのアパートに泊めて』

突然すぎるだろ

男「いきなりなんで!?」

姉『仕事よ!し・ご・と!』

繰り返さなくても聞き取れたわ

男「困るよ・・・」

姉『もうすぐそこまで来てるから!
  やましいものしまっとくのよ!』

男「おい!なんだよいきなり!?」

切られた

霊子「お姉さんですか?」

男「まずい・・・」

なにがまずいって・・・霊子さんだ

男「とりあえず押し入れに・・・」

ピンポーン

姉「来たよー!」

男「速えよ!!」

玄関の扉が開くのとほぼ同時に

霊子さんが押し入れに飛び込んだ

姉「ん?今誰かいた?」

男「いないいないいない」

ずかずかと我が家のように押し入ってくる姉

姉は押し入れの前で立ち止まると・・・

姉「・・・女の臭いがする・・・」

男「!?」ビクッ

霊子「・・・!?」ビクッ

姉「あんた・・・彼女できたの?」

男「・・・・・」ブンブン

首を振って否定する

姉「・・・ふぅ~ん・・・」

その瞬間・・・

姉「そこかぁぁ!!」

勢いよく押し入れの扉を開く

男「おんdkjsksbskqなvjばばj!!!」

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霊子「きゃっ・・・!?」

終わった・・・・

姉「おっかしいなぁ・・・
  臭うんだけどなぁ・・・?」

霊子「そ・・・そんなに私臭いますか?」

姉「なんであんた押し入れに布団ひいてあんの?」

あれ・・・?

姉「まさかここに彼女を
  連れ込んだりしてんじゃないの?」

あれれ・・・?

姉「この臭いは絶対女の臭いよ・・・!」

なんか・・・見えてないぽいぞ?

男「あのさ・・・」

姉「なによ?」

男「押し入れに・・・何がある?」

恐る恐る聞いてみる

姉「布団と・・・通販のダンボール?」

きたぁぁぁぁ!!

姉には霊子さんが見えてない!

それに気がついた霊子さんが
押し入れから這い出してくる

霊子「なんか・・・私見えてない見たいですね」

男「だね」

姉「なにが『だね』よ?」

姉「それよりさ!見てよこれ!」

姉が携帯を突き出してくる

男「なに・・・?」

画面にはメイドコスの女の子

姉「さっきさぁコンビニで
  会っちゃってさぁ・・・!
  もう一目惚れよ!」

男「うわ~・・・こんな格好で
  外に出れるとか勇者だな」

姉「なに言ってるの、可愛いじゃない」

とにかく姉には霊子さんは見えないし
聞こえないようだ

霊子
「なんか・・・
 無視されてるみたいで複雑です・・・」

姉「そっか!私が泊まるって言ったから
  準備してくれたのね!」

まぁ・・・そういうことにしておこう

男「そ・・・そうなんだよね~!
  さ、この押し入れ好きに使っていいから!」

姉「はい・・・?何言ってんの?」

ん・・・?

姉「あんたがここ、
  私はベッドを使わせてもらうわ」

いやいや、それはだめだ

霊子「そそそ・・・それなら私はどこへ?」

男「だめなんだ・・・
  俺は姉ちゃんには勝てないんだ・・・」

霊子「じゃぁ・・・今夜は男さん徹夜ですね」

なんだかんだで霊子さんも酷い人

部屋に腰を下ろすなり忙しそうに
仕事に取り掛かる姉

姉「あんたさぁ・・・」

男「・・・?」

姉「料理すんの?」

いきなり何を聞いてくるかと思えば

男「別に・・・なんで?」

姉「台所綺麗だしさ・・・
  なんか主婦みたいにピカピカじゃん」

霊子さんだ・・・

霊子「お姉さんは結婚してるんですか?」

頷いて返事をする

霊子
「だったらきっと気がついちゃいますよ。
 一応料理するって言った方が・・・」

そういうものなのか・・・

男「おおお、おう!料理するぜ!」

姉「本当?」

なんか嬉しそうな姉

姉「じゃぁ私が泊まる間ご飯よろしくね」

男「ちょ・・・待って!俺が料理するの!?」

姉「そうだよ。成長した弟の手料理なんて
  なかなか食べれないだろうしね」

こまったことになったぞ・・・

霊子「大丈夫です・・・私も手伝いますから」

ああ・・・霊子さんって凄くいい人だ。

生きていたらきっと惚れていたに違いない

ということで昼食の準備にとりかかった

霊子「ああっ!!危ない・・・」

俺の包丁さばきは見事だった

指を落としそうになるくらい
スレスレを切るので霊子さんが
そわそわしながら見守ってくれている

男「次は・・・」

霊子「これです」

霊子さんが手渡しで
調味料を渡してくれるが・・・・

この光景・・・明らかに俺が光剣で戦う
あのSF映画に出てくる力を使っているようにしか見えない

霊子「ああっ!いれすぎですよぉ・・・」

男「難しいな・・・」

包丁をつかんで食材を切ろうとした時・・・

霊子「こうやって・・・」

霊子さんの手が透けて俺と一緒に包丁を握る

何だか気持ち悪いような・・・
でも嬉しいような

力を抜いても勝手に包丁が動く

霊子
「ちょっと!男さん?
 ちゃんと握ってください!」

ふざけてたら怒られた

その時

ドン!!ゴトンゴトン!!

何やら隣がまた騒がしい

姉「おーい!なんか隣がもめてるぞ?」

男「え~?」

面倒だから完全無視

ほどなくしてなんとか焼きそばが完成した

野菜を切ったのは殆ど霊子さんだったが・・・

時間は午後2時・・・
ほぼ30分あたりだろうか?

パトカーやらのサイレンで
俺たちの昼食は中断された

男「なんだ?」

姉「どっかで火事かな?」

サイレンが近くで止まった

男「この辺かよ・・・」

心配になって玄関をでてみると

男「!?」

一瞬だが救急車に乗せられる男性が見えた・・・

先輩「くそっ・・・」

男「なにかあったんですか?」

この先輩はこのアパートの
ボス的存在で頼れる兄貴分だ

先輩「ああ・・・ちょっとな」

ちょっとではパトカーは呼ばないだろう・・・

姉「なに?ケンカ?」

隣の部屋は警察が捜査の為に
立ち入り禁止にしていて入れない

男「まじか・・・」

隣人「またなにかあったのか?」

この人は事件のあった部屋とは
反対に住んでいる人

男「なんか事件っぽいですね。・・・
  てか、またって以前にもあったんですか?」

隣人「ん?ああ、お前いなかったんだな・・・」

どうやら数ヶ月前にもアパートの前で
交通事故があってパトカーやら何やらが来たらしい

隣人「物騒だよなぁ・・・。
   日本って安全だって聞いてたのに」

全くだ

ただ交通事故は事件じゃないし・・・

男「交通事故って誰か死んだんですか?」

隣人
「いや・・・確か死にはしなかったらしいぞ」

部屋に戻って昼食を再開すると・・・

霊子「・・・・・」

霊子さんが青い顔をしてうずくまっていた

男「どうしたんですか?」

姉に聞こえないように小声でたずねたが

霊子
「いや・・・
 サイレン聞いてちょっと気分が・・・」

死んだ時の記憶が蘇ったのだろうか?

だったらヘラヘラしてられないだろうが・・・

男「大丈夫?」

霊子「はい・・・もう、大丈夫です」

大丈夫そうじゃない

そういえば姉ちゃんは・・・?

玄関で警官と喋っていた

姉「本当なんですって!
  ちょっと前にここにきた時に
  このアパートを雨の中じーっと見てる
  おっさんがいたの!」

なんか目撃したらしい

警官は俺にもなにか聞いてきたが
物音を聞いただけだと伝えると帰って行った

姉「絶対あのおっさんが怪しいわ・・・」

男「人を無闇に疑うのはよくないよ」

きっと何か揉め事だろう・・・

それ以来その事件については何も触れなかった

その日の夕暮れ

小さな異変が起こった

姉は仕事に出かけたので
霊子さんも自由にしていた

霊子「男さんコーヒー飲みますか?」

男「あ~、じゃぁもらおうかな」

霊子「はい」

霊子さんは台所へ立ってコーヒーをいれる

しばらくして・・・

霊子「おまたs・・・あっ!!」

ガシャンッ!!

霊子さんがカップを落としてしまった

男「大丈夫ですか?」

慌ててカップを拾おうとするが・・・

霊子「あ・・・あれ!?」

手が透けてしまってカップの破片がつまめない

男「・・・え?」

霊子「ご・・・ごめんなさい!」

何度も挑戦するが一向に破片がつまめない

男「大丈夫・・・俺が片付けておきますから」

破片を拾って床を拭く

霊子「・・・どうして・・・?」

何だかそうとうショックみたいだ

男「まぁ・・・
  元々触れるのが不思議なくらいですから」

霊子「そうですよね・・・」

霊子さんはとても寂しそうに

霊子
「私・・・もう死んでいるんですよね・・・」

結局それ以来物に触れなくなってしまった
霊子さんの代わりに俺が料理をはじめた

霊子さんに指示してもらってその通りに作る

料理は苦手だがなんとか上手く行った

霊子「・・・はぁ・・・」

男「まぁ・・・不便でしょうけど
  一応俺も居ますし」

霊子さんは浮かない表情で

霊子「ありがとうございます・・・」

物に触れなくなるということは
そうとう不便だろう

霊子
「なんだか急に実感しちゃいました・・・」

男「そう・・・ですね。俺もです」

今まで霊子さんが幽霊だと分かってはいても
なんだか実感していなかったというか・・・

もう何かを食べることも着ることもできない

霊子
「男さんから貰った手袋・・・
 気に入ってたのになぁ・・・」

たまたま俺が買ってきた
(たまたまではない気もするが)手袋・・・

買ってきた理由はともあれ
霊子さんは凄く喜んでくれていたみたいだ

霊子「なんか・・・ごめんなさい」

男「なんで謝るんです?」

霊子
「もう料理も家事もできないのに・・・
 私はここから出ていけない。
 なんか男さんの負担になってる気がして・・・」


「別に・・・
 霊子さんはそこに居てくれるだけで
 俺は十分ですから」

おっと、
思わずとんでもないことを言ってしまった

霊子「え・・・?」

なんか霊子さんも赤くなってるし


「あ、いや!霊子さんがここにいることで
 家賃も下がってる訳ですし!」

霊子
「そ・・・そうですよね。
 居るだけでクーポンみたいな。
 ・・・あははは」

霊子さんが居るだけで・・・なんていうか・・・

楽しい

今はそうとしか表現できないけど

悪い気分じゃない

時刻はもう1:50

そろっと寝ないと明日がきつい

男「俺そろっと寝ます」

霊子「あ、そうですか!お休みなさい」

男「あれ?霊子さんは?」

霊子「いえ、寝るところが無いですし・・・」

俺が押入れを使ってしまうと
必然的に霊子さんが余ってしまう

男「でも霊子さん寝ないと・・・」

夢で記憶が取り戻せない

霊子「いえ、大丈夫ですから!」

なんか頑なだなぁ・・・

男「もし限界まで眠いなら・・・」

霊子「眠いなら・・・?」

男「お・・・お・・・」

頑張れ俺・・・!

男「押入れ・・・
  一緒してもいいですよ・・・」

なんとか言えた

霊子「え・・・?」

驚く霊子さん

霊子
「それって・・・一緒に寝てもいいって」

男「いえ、限界だったらですから!」

そのまま押入れに飛び込んで寝る

押入れのそとで歓声のような
悲鳴のような声が聞こえたが・・・

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俺は眠気が限界だったので寝てしまった

翌朝

姉「起きろーっ!!」

姉の声で飛び起きた

ゴッ・・・!!

男「いってぇ・・・」

押入れの天井に額をぶつけた

男「なんだよ・・・?」

姉「朝飯!あんた作ってくれるんでしょ?」

そうだった・・・

男「トースターあるんだし
  自分でパン食えばいいじゃん」

姉「はぁ?」

俺は姉ちゃんには勝てない・・・

パンを焼いてコーヒーを淹れながら

霊子
「ふあぁ・・・
 男さんまたこき使われてるんですか?」

結局霊子さんと押入れで寝たのだが

霊子さんの体は完全に物に
触れられなくなっている

俺が起きた時には押入れから
扉を透けて外に半分飛び出していた

男「しょうがないんだよ・・・
  姉ちゃんは俺の恩人だから」

霊子「恩人?」

見ると姉は再び眠っていた

小声で俺は昔話をはじめた

俺がまた小学生のころ

今は大丈夫なんだけど、昔体が弱くてさ

運動出来ないもやしボーイだったんだ

同級生からはいろいろいじめられてさ

親からも女の子みたいだって怒られてた

でも、不思議なことに姉ちゃんは
その真逆で男の子みたいに元気だったんだ

いじめられてるとヒーローみたいに駆けつけて
俺でも引いちゃうくらいいじめっ子たちを
ボコボコにしてくれた

毎回親と謝りに行ってたけどね

俺にとって姉ちゃんは尊敬出来るヒーローなんだ

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霊子
「へぇ~・・・
 男さんっていじめられっこだったんですね」

そこに反応するか?


「だからさ俺は姉ちゃんには
 勝てないってこと」

霊子
「でもお姉さんって・・・
 綺麗な人ですよね~」

なんか目がいやらしいぞ霊子さん

男「性格が男っぽいから
  もてなかったらしいよ」

霊子さんが俺をじっと見てる

男「・・・・?俺なんか言った?」

霊子「男さんはもてたんですか?」

男「ん~・・・
  小中高と彼女もいなければ
  告られたこともなかったな」

霊子「大学では・・・?」

なんか楽しそうに聞いてくるなぁ・・・

男「一回だけ・・・未遂的なのが」

霊子「未遂?」

男「一応告られ・・・そうになった」

霊子さんの視線がちょっと冷たくなって

霊子
「それって男の人によくある
 勘違いってやつじゃないんですか?」

失礼な

男「ラブレターもらったんだよ」

霊子
「ら、ラブレター!?・・・
 キャーキャー!!」

過剰反応だぞ霊子さん

霊子
「で、で、で!?どうなったんですか!?」

デデデって大王かよ・・・

男「なんか場所指定されてて・・・
  そこで待ってたんだけど」

霊子さんが身を乗り出して聞いている

こういう話し好きなのか?

霊子「待ってたんだけど・・・?」

男「誰も来なかった・・・」

ずっこける霊子さん

なんか一連のギャグみたいだ

霊子「場所間違えたんじゃないんですか?」

男「俺もそう思って
  何度も確認したんだけどね・・・。」

霊子
「きっと告白の寸前に男さんに
 飽きちゃったんですね」

今のは痛かった・・・

痛かったぞ~!!

男「やっぱそうですよね・・・・」

霊子「まぁまぁ・・・コーヒーでどうぞ」

スカッ・・・

霊子「あ、触れないんだった」

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姉「んぁ・・・?誰か来てるの・・・?」

おっと姉ちゃんが起きた

男「別に?」

霊子「おはようございます」

霊子さんの声は届かないのだが

ちゃんと挨拶するあたりがかわいい

姉「今・・・何時?」

今は8:38だ

男「八時s・・・」

姉「おわぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ベッドから飛び起きるとすぐに着替え出した

男「ちょ・・・姉ちゃん!
  ここで着替えないでよ!」

姉「うっさい!あんたが見るな!!」

理不尽すぎるだろ・・・

まぁこれが姉ちゃんの平常なのだが

そのまま姉は俺の焼いたパンを
かっさらって出かけて行った

霊子「あの・・・」

男「なに?」

霊子
「私のお話も聞いてもらって良いですか?」

確か・・・
霊子さんは自分の事を
殆ど覚えていなかったはず

霊子「昨夜ちょっと思い出したんです・・・」

男「自分が・・・何者だったのか?」

霊子さんは無言で頷き肯定する

霊子
「私・・・そろそろ成仏しないと
 ダメなのかもしれません」

唐突な話だ

確かに霊子さんは
もう死んでしまっている訳だから
出来るだけ早く成仏した方が
いいに決まっているのだが・・・

男「急に・・・どうしたの?」

霊子さんは寂しそうに自分の手を見つめながら

霊子
「私・・・このままだと多分消えちゃいます」

え・・・?

男「消え・・・る?」

それは成仏ではないのか?

霊子
「元々この部屋にもう一人
 私みたいな幽霊がいたんです」

それは初耳だ

てか、居たってことは今はいないのか

霊子
「その人は・・・
 男さんが引っ越してくる寸前に
 いきなり消えちゃったんです」

俺が引っ越してくる前・・・
ってことは3ヶ月くらい前か

男「なんで消えたの?」

霊子「時間が立ち過ぎたって言ってました」

幽霊には制限時間みたいなのが
あるのだろうか?

男「なに?その時間って?」

霊子
「私たちみたいに未練がある霊は
 5年のうちに未練を果たせないと
 自動的に消滅しちゃうって・・・」

幽霊の先輩は5年の制限時間内に
未練を果たせなかったのだろう

男「霊子さんは死んでから何年・・・あ」

霊子さんは死んだ時の記憶がなかった

霊子
「気がついたらここにいて・・・
 でもここにいる前は
 どこかにいたのかもしれないし・・・」

なんだかよくわからなくなってきた

男「・・・で、
  なんでいきなり消えるなんて?」

霊子
「物に・・・触れなくなってきて・・・」

泣き出す霊子さん

霊子
「自分の・・・存在も
 薄くなってきてるのが分かるんです・・・」

確かに急に物に触れられなくなった

存在の薄さはわからないが・・・


「もう消える兆候が現れたってこと・・・?」

霊子さんは泣きながら頷く

俺はその時決心した

男「だったら・・・」

男「俺が責任をもって成仏させてやる!」

霊子さんが泣きながら

霊子「お願い・・・します・・・」

このとき俺は気がついた

俺と霊子さんはいずれにせよ
もう長くは一緒にいられないと

それでも俺は決心した

この日は長い雨が止み久々に太陽が輝いていた

・・・・・・

男「で、今回わかったことって何?」

霊子
「はい・・・
 私学校に通っていたみたいなんです」

霊子さんはもう社会人だと思っていたが

意外に学生だったようだ

ただ5年前だからもし霊が成長するなら
話は変わってくるが

男「へぇ・・・どこの学校?」

霊子「やすし大学っていう・・・」

やすし大学!?

男「俺もそこの学生なんだけど・・・」

霊子「あ、そうなんですか?」

だったら簡単だ

5年前からの名簿でレイコという名前を
調べてみればなにか分かるかもしれない

早速学校に行こうとしたら

霊子
「私も・・・一緒に行っていいですか?」

意外な提案に驚いた


「だって・・・
 この部屋から出られないんじゃなかった?」

霊子
「一人では出られないんですが・・・。」

さらに驚きの提案

霊子「男さんに憑かせてください・・・」

わぁ・・・なんか怖い感じ

男「俺に憑くと出られるの?」

霊子「多分・・・」

自信ないのかい

とりあえずやってみることにした

男「お・・・俺はどうしたらいい?」

霊子「普通にしててください」

それは一番難しい

男「普通・・・俺は普通だ・・・」

ずしっと肩が重くなる

男「お・・・おお!?」

全身にだるい感じが広がって・・・

霊子「これで憑けたと思います」

霊子さんはただ後ろから俺の背に
しがみついているだけなのだが・・・

重い・・・!

霊に取り憑かれるってこんな感じなのか

男「よ・・・よし、行こうか・・・」

霊子「だ・・・大丈夫ですか!?」

男「大丈夫・・・」

大学までは自転車で行く

駅まで自転車をとりに行ってから
自転車で大学まで行く

霊子「久しぶりの外です~!」

なんか楽しそう

男「ずっと部屋にいたら退屈ですもんね」

俺も何となく慣れてからだが楽になった

霊子
「こういうのも・・・
 デートって言うんですかね?」

ガクンッ!

びっくりして転びそうになる

霊子「うわわっ!?」

男「ご、ごめんなさい!」

霊子さんとの別れが確定してから
霊子さんを好きになりつついる自分が
情けなく思えてきた

今日はよく晴れた

自転車にのって受ける風が気持ちいい

しばらく進むと上り坂になっている

霊子さんが憑いているせいか疲れるのが早い

男「はぁっ・・・はぁっ・・・」

霊子「だ、大丈夫ですか?」

男「問題・・・ないです」

坂を登りきるともう大学の敷地だ

男「ここがやすし大学なんだけど」

構内をサーっと自転車で徘徊する

霊子「なんか・・・覚えてます。」

今日は休みのせいか人が殆どいない

男「なんか参加してたサークルとか
  覚えてます?」

霊子
「えっと・・・写真ってありましたっけ?」

あったはず

男「あ、ちょっと!」

女の子「はい?」

男「写真サークルってどこにあったっけ?」

適当に捕まえた女の子に聞いて
写真サークルの場所を教えてもらった

霊子「男さんってここに通ってたんですね」

きっと以前霊子さんが俺を知っているって
言ってたのは大学の中で俺を見かけたんだろう

自転車を止めて建物に入る

男「東棟の一番奧って言ってたなぁ」

人気のない廊下をあるき続ける

突き当たりに写真サークルと書いてある
札がかかった扉がある

霊子「あ、男さん入れないじゃないですか」

扉には大っきな字で
『男性立ち入り禁止』
と書いた張り紙がしてある

男「・・・・」

ここのサークルは男性に
なにか恨みでもあるのだろうか

男「構わん・・・そもそも今日は休みだし」

扉には鍵がかかっていなかった

ガラガラ・・・

男「おじゃましまーす」

今まで入ったことが無かっただけに
未知の空間だったが

男「なにか思い出します?」

霊子さんは俺に憑いているので
俺から離れられないがキョロキョロしている

霊子
「あ~!これ確か私が撮ったんですよ!」

見ると夕日で真っ赤に染まった風景の中に
人物が一人座っている

男「へぇ~」

霊子「なんか懐かしい感じです~」

そこで俺は気になる物を見つけた

男「霊子さんっていつまで
  ここの学生だったんですか?」

霊子「それが・・・覚えてないんです」

この風景って・・・・

その日は大学の名簿も調べたのだが
レイコという名前は以外と多くて
さらに上の名前も分からないので
これ以上調べようがなかった

霊子「ごめんなさい・・・」

帰りがけに霊子さんは
申し訳なさそうに俺に謝った

男「あやまることないですよ」

自転車にまたがって時計を見る

今は16:40

帰って夕飯の準備だ

ペダルを力強くふみこむ

夕日が俺たちを照らす

男「あ・・・」

目めに入った光景は
さっきみた写真と同じだった

男「ここで撮ったんですね」

霊子
「そうです。
 私も狙ってとったわけじゃなく
 たまたま撮れたんですよ」

確かにこの光景は写真にでも
撮っておきたいくらい綺麗だった

男「人が写ってたのは狙ったんですか?」

霊子さんは少し考えてから

霊子「確か・・・それも偶然だった気が」

偶然が重なってさっきの写真か・・・

男「・・・帰りましょうか」

霊子「はい」

家に帰ると姉が半裸で寝ている

男「はぁ・・・だらしない・・・」

正直こいつはダメだと思ってしまった

俺にとってヒーローでも
世間からしたらだらしない姉だ

霊子「あ、あの・・・」

男「なんです?」

霊子さんはすこし戸惑いながら

霊子
「お姉さん・・・
 結婚してるんですよね・・・?」

俺も時々疑いたくなる

男「そのはず・・・なんだけどなぁ」

姉「んぁ・・・?・・・帰ったか・・?」

動物園のパンダみたいにグダグダしやがって

男「旦那さんみたら泣くぞ・・・」

姉「あ~・・・わぁたしわかれたぁから・・・
  旦那いないんだぁよねぇ・・・」

呂律が回ってねぇ

男「ん?」

いま何て言ってた?

見ると霊子さんも驚いた顔をしている

霊子「今・・・別れたって・・・」

男「えええぇぇぇえぇぇぇぇぇぇええ!?」

姉「るっさい・・・」

俺はすぐに母に電話をかけた

男「母さん!?姉ちゃん別れたって!」

母『あれ?しらなかったの?』

なぜ俺だけ知らなかったのだ・・・?

姉「ごめんごめん、
  仕事が忙しくて伝えるの忘れてた」

男「先に伝えろよ!!てか、服きろ!!」

姉と霊子さんはならんでテレビを見ている

電話はいつのまにか切られていた

男「・・・で、いつまでいるの?」

姉「明日帰るよ~」

もしかしたらこのまま俺に要件を伝えずに
帰るつもりだったのか・・・?

姉「あんた・・・好きな人いる?」

唐突になんだ?

男「・・・まぁ、いるけど」

姉は俺の手を握りながら泣き出した

姉「本当に好きな人の手は・・・
  絶対に離しちゃダメだからね・・・!」

明らかに酔っ払いの説教だったが
俺には何だかとても大事な言葉な気がした

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男「俺・・・その人の手すら
  握ったことないんだけど」

霊子「そうなんですか?」

あんたのことだよ

霊子さんは全く気がついてくれないが


「ならまずはその手をつかむことから・・・」

姉はボロボロ泣きながら寝てしまった

男「・・・おい?・・・おーい!寝るな!」

寝てしまった姉をベッドに寝かせてから
俺たちは夕飯の準備にとりかかった

霊子
「私がいなくなったら夕食どうするんですか?」

いなくなったらとか考えたく無かったが・・・

男「またレトルト祭りかな・・・?」

少しは上達した包丁さばき

ニャンコハンドもできるようになった

霊子
「だったら今のうちに沢山
 料理教えてあげますね」

とても綺麗な笑顔だったが

どこかさびs・・・

ザクッ

男「おわhdbsbxj!?」

指を切った

霊子「ああっ!もうなにやってるんですか!」

急いで洗って絆創膏を貼る

霊子「本当に大丈夫ですか・・・?」

大丈夫じゃない

霊子さんがいなくなるなんてやだ

男「大丈夫・・・」

指を切ったせいでテンションもガタ落ちだ

霊子「私・・・不安です・・・」

男「大丈夫だって。
  ちゃんと料理できるようにn・・・」

霊子「そうじゃないんです・・・」

霊子「私・・・
   ずっと男さんと一緒に居たいっ!」

俺だってそうだけど・・・

男「ダメだよ・・・」

霊子さんはもうこの世の者ではない

男「悲しいけど・・・ダメなんだ」

霊子さんを泣かせてしまった

そのまま押入れに
引きこもってしまった霊子さん

その日の夕食は俺が適当に
作っただけあってしょっぱかった

翌朝

男「ぶえっくしょん!」

よく考えたら寝る場所が無くて
一晩中起きていた

完全に風邪ひいた

姉「バカだな~・・・
  なんで寝なかったのさ?」

押入れに引きこもったまま
霊子さんも出てこない

男「ちょっとね・・・。
  ぶえっくしょん!!」

姉「もう少しここにいようか?」

男「帰っていいよ・・・」

姉「まぁ仕事終わったし
  帰らないと行けないから帰るけど」

男「・・・・」

姉は帰る準備を終えてもう帰るところだった

姉「それと・・・」

きた時のように押入れを開けると・・・

中で丸くなっていた霊子さんが
びっくりしてこっちを見ている

姉「男のことよろしくね」

は・・・・?

姉「じゃ、またくるわ~」

そのまま玄関を出て行った

男「は・・・・・?」

霊子「私・・・見えていたんですか?」

なんじゃそりゃぁぁぁぁ!!!

姉は颯爽と去った部屋で
俺たちは何も話すことがなかった

男「・・・」

霊子「・・・大丈夫ですか?」

男「大丈夫・・・」

気まずい・・・

霊子
「また思い出したことがあるんです・・・」

男「なに?」

霊子さんはベッドで寝ている俺と
真正面から向き合って

霊子「私・・・男さんが好きです」

それって思い出したことなの?

男「えっと・・・」

霊子
「ずっと好きだったんです・・・。
 死ぬ前から」

死ぬ前から・・・?

どんなに脳をフル回転させても
記憶の中の霊子さんは幽霊だ

男「俺は・・・覚えてないんだ」

霊子「そうですか・・・」

すごく悲しそうだ

男「本当にごめん・・・」

ここで思い出したフリならできる

でもそれではいけない

霊子
「男さんからしたら
 本当に小さなことだったと思います。
 ・・・でも私にとっては
 あなたを一目惚れさせるに十分でした」

全力で脳をフル回転させる

思い出さなければ・・・

今まで会った人・・・

景色・・・

見たもの・・・

どれにも霊子さんはいない

男「本当にっ・・・ごめん・・・!」

霊子
「いいんです・・・。
 こうして最後の最後に
 好きな人といれたから・・・」

最後の・・・最後?

男「それって・・・」

霊子
「あと一日・・・
 それで男さんとはお別れです」

急すぎる・・・!

男「待ってくれ!なんでそんな急に!?」

俺はパニックなのに
霊子さんは妙に落ち着いている

霊子「私・・・未練を見つけたんです」

男「未練?・・・それって?」

霊子さんは声を詰まらせながら・・・

霊子「あなたと・・・一緒にいたかった」

男「・・・・!?」

絶対にかなわない未練

これでは霊子さんは
絶対に成仏出来ない・・・

あと一日

霊子さんを成仏させるためなら・・・

俺は決心した

男「霊子さん・・・」

だるい体に鞭打って飛び起きる

男「・・・出かけない?」

霊子さんの泣き顔は
綺麗だったけど見たくなかった

男「消えるにせよ、成仏するにせよ。
  俺は霊子さんに幸せに笑って
  旅立ってもらいたい」

霊子「でも・・・男さん風邪が・・・」

男「大丈夫だって!
  霊子さんにはうつらないから」

そういう意味ではない事は分かっていたが
ちょっと照れ臭かったんだ

引き出しから『冷え◯た』という貼るだけで
白熊も凍える冷却シートをひたいに貼り付ける

男「はいっ!これで治った!」

正直めまいがしたが
今日一日頑張ったくらいじゃ死なないだろう

霊子
「ダメですって!
 ちゃんと安静にしていないと・・・!」

本当にいい子なんだから・・・

生きて出会えてたらどんなに嬉しかったか

男「冷えぴ◯なめるなよ!
  霊感持続の・・・
  この粒粒がすげーんだから!!」

霊子さんは涙をぬぐいながら少し笑って

霊子「霊感持続はすごいですね・・・」

行く気になってくれた

さっき体温を測ったら39℃あったが・・・

うちの風呂は42℃なのでちょろいちょろい

男「じゃ、行きましょうか!」

霊子「・・・はい!」

霊子さんが俺に取り憑く

全身が更にだるくなる

頼んだぞ・・・冷◯ピタ!

行くところなんて考えてなかったけど
霊子さんが消える前に
この街を見たいというので自転車を走らせた

男「俺もあまり詳しくないんだけど・・・」

霊子「私が案内しますよ!」

男「了解!」

街をあちこち走り回る

まずは海にきた

男「海辺ってこの季節寒いなぁ・・・」

霊子「寒いですね・・・」

寒中水泳って拷問だったんだなって
実感するほど寒い

霊子
「夏に・・・来たかったですね・・・」

だめだ・・・!
なんか辛気臭くなってしまう!

男「さぁ!次行こうぜ!」

自転車で街を回っている間に
霊子さんは自分について語り出した

霊子
「前に男さんがラブレター
 もらったって話してましたよね」

あ~そんな話したかもしれない

男「したね」

霊子「あれ・・・私が出したんです」

男「なぁはっ!?」

振り向いた反動で転びそうになる

男「おわわわっ!」

霊子「だ・・・大丈夫ですか?」

男「びっくりした・・・。でもどうして?」

霊子「私・・・男さんに一目惚れしたんです」

さらに驚いた

男「でも・・・いつあったのか
  思い出せないんだけど・・・」

霊子
「本当に些細なこと
 だったんですけどね・・・」

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少し昔の話し

私は大学で家の鍵をなくしてしまって
帰れず困っていました

男「どうしたの?」

そんな時に男さんが声をかけてくれたんです

玲子「鍵が・・・無くなっちゃって」

男「家の?」

探しながら頷くと

男「どんな鍵?暇だし俺も探すよ」

玲子「え・・・でも・・・」

男「暇なんだよ。
  それにウォーリーを探せ得意だし」

ウォーリーさんが誰か知りませんでしたが、
男さんは一緒に鍵を探してくれました

しばらくして

玲子「あ・・・!」

男「あった?」

玲子
「はい!・・・
 あの、ありがとうございました!」

男「いや、結局俺はみつけられなかったし」

鍵が見つかり帰ろうとした時

男「おお・・・すげぇ・・・」

夕焼けで景色が真っ赤になってました

そこでとっさに撮った写真が・・・

男「飾ってあったあの写真?」

霊子「はい・・・」

あの人影は俺だったのか・・・

俺も思い出した

あの時の人だったのか・・・

正直俺が声をかけたのも
一目惚れってのかもしれない

顔を覚えて無かったのは
何だか照れ臭くって
直視できなかったからかもしれない

男「てか霊子さんウォーリー知らないの?」

霊子「はい、歴史上の偉人さんですか?」

思わず笑ってしまった

霊子「話し・・・続けていいですか?」

男「ああ、どうぞ」

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私は男さんのことが忘れられなくて
たまたま男さんのロッカーが
分かったのでお手紙を書こうと・・・

でも手紙で思いを伝えてしまうのも
どうかと思いましたし、
男さんがどういう人なのか
まだよく分からなかったので
怖かったんです

それでもう一度お話しがしたいという内容で
手紙を書きました

しかし、約束の日

私は不慮の事故で死んでしまったんです

きっとその時の思いが
今の私がここにいる理由だと思います・・・

知らなかった

男「・・・・・」

言葉が出ない

霊子
「もっと・・・早く男さんに
 出逢いたかったです・・・」

男「そうだね・・・」

そのまま俺たちはあの時の約束の場所に来た

時間が経ちすぎた・・・

というより俺が体力を使い果たして
ばてたせいで夕焼けに間に合わなかった

男「あ~あ・・・
  ここで間に合ってたら
  感動だったのになぁ・・・」

霊子
「でも・・・
 男さんとまたここに来れて良かったです」

霊子さんの姿がまた一層薄くなった気がする

男「やっぱり・・・もう消えちゃうんだね」

霊子「はい・・・」

男「消えたらどうなるの?」

霊子
「わかりません・・・。
 私も消えるの始めてですから」

ぬるくなった冷○ピタを剥がしながら

男「俺・・・俺は・・・」

ちくしょう・・・体力がマジで限界だ

体から勝手に力が抜ける

暗くなった大学の中庭の芝生の上に
俺は倒れ込んだ

目の前には霊子さんが
心配そうに顔を覗き込んでいる

その後ろには霊子さんの体が
透けているせいで月が見える

霊子「大丈夫ですか!?」

男「大丈夫・・・」

なんだか力が抜けて楽になった

霊子「あ・・・」

霊子さんの体がどんどん薄くなっていく

ついに別れの時だ

男「霊・・・子さん・・・」

霊子「男さん・・・」

月光が俺たちを照らす

男「元気で・・・」

霊子「私はもう死んでますよ・・・」

最後に霊子さんは笑った

俺は触れないと分かっていても手を伸ばした

その手を包むように霊子さんが握る

手に握られた感触はなかったけれど・・・

俺たちは確かに触れ合ったはずだ

霊子「男さん・・・ありがとう・・・」

そして・・・

気がついたら風邪を引いて
ぶっ倒れた俺だけが月の光を浴びていた

最後に成仏出来たのだろうか・・・?

俺には分からないけど

霊子さんは最後に笑った

そして俺も霊子さんと過ごした時間は幸せだった

男「・・・・あ・・・」

気がついたら俺は
どこかのベッドで寝かされていた

なんか点滴うたれてる

男「なんで・・・?」

目覚めたばかりで全く脳が機能していない

姉「あ・・・起きたのか」

部屋の入り口から姉が入ってくる

男「なんで姉ちゃんが・・・?
  てかここどこよ?」

姉「風邪でしかも大学の中庭でぶっ倒れた
  バカ弟のためにわざわざ
  来てやったんでしょ」

男「じゃぁ・・・ここ病院なの?」

よく考えたら点滴うたれてる時点で病院だ

どうやらあの時俺は限界を迎えて
ぶっ倒れたらしい

姉「あんたね・・・。
  姉ちゃん忙しいのに
  わざわざ休んでまで(以下長い小言」

姉ちゃんにまで迷惑かけて申し訳ない

姉「先生が『新手の自殺なんじゃないか」』
  って心配するくらい
  ボロボロだったみたいよ」

俺の中にほんの少しだけ死んだら
霊子さんにまた会えるって考えが
浮かんだのは事実だ

でも俺は死ぬ気なんてない

男「本当にごめん・・・。」

姉「・・・。なんかあった?」

男「え?」

姉「なんか廃人見たいな顔だし」

顔を触ったが

触っても分からん

男「なんか・・・すっげー疲れた」

その後俺はアパートを去り
別のアパートを借りた

あのアパートにいると
霊子さんのことが忘れられずに
まともに生活できない気がした

あのアパートにはもう幽霊は出ないだろう

結局俺は霊子さんのことを
ほとんど知らないまま別れてしまった

せめて墓参りくらいはしたかったのだが・・・

俺が新たに借りたアパートは
もう少し大学から離れていて家賃が高い

自転車での通学も少し大変になった

でも毎日あのアパートの前を通る度に
霊子さんがまだそこにいるような気がした

俺は霊子さんのことを一生忘れない

物語が終わって1年くらいがすぎた

いつもの通り自転車で大学に向かっていると

男「あ・・・」

あのアパートに誰か引っ越してきたようだ

しかも俺のいた部屋だ

家賃くっそ安いもんな

少し自転車を止めてどんな奴が
引っ越してきたか見てやろうと思った

そしたら丁度出かけるところだったようだ

扉が開き中から・・・

男「うっそ・・・・でしょ?」

玄関から出てきたのは
一年前に一緒にあの部屋に住んでいた
同居人にそっくりな女性

玄関を出てきて階段を降りたところで
目があった

男「・・・・・・」

女性「・・・・・・」

しばしの無言の間

女性「男・・・さん?」

男「え・・・?お・・・?・・・ん?」

女性「男さぁんっ!!!!」

女性は俺に向かって走ってくる

俺は自転車を降りて女性を受け止める

男「まさか・・・本当に霊子さん?」

玲子「本当に私ですっ!」

お互いにかたく抱き合う

今度は・・・確かに俺の手に感触がある

男「ど、どうして・・・?」

感染したら生ける屍になる○ウイルスとか
物の時間を巻き戻せるタイ○ふろしきとか
今の状況を作り出せる色々な物が思い浮かぶ

玲子「実は・・・ごめんなさい!」

いきなり謝られても

玲子「私・・・死んでなかったんです」

男「なふぁ!?」

思わず変な声が出た

玲子
「ずっと自分でも死んだと
 思い込んでただけで・・・。」

あれ・・・?全く状況が飲み込めない

玲子さんの説明によると

半年前に丁度ここで事故に会い
そのまま意識不明だったらしい

その間、玲子さんは幽霊となって
あの部屋にいたみたいだ

最後に消えたのは玲子さん自身が
目覚めたかららしい

男「そ・・・そんな・・・」

俺の悲しみを返せ

そこで思い出した

半年前にここで事故があったと
聞いたことがあったはず

その事故で死人は・・・出なかったはずだ

男「良かった・・・」

玲子「怒りませんか・・・?」

男「怒るもんか・・・」

玲子
「ずっと男さんと過ごした時間は
 夢だったんじゃないかって・・・」

玲子「でも、夢じゃなかった!」

男「夢なもんか・・・!
  だって・・・こうして手を繋げるんだし」

玲子「そうですね・・・」

男「やっと掴めた・・・
  この手はもう離さないから」

玲子「はい・・・!」

おわり。

長文おつかれさまでした!