のび太「――――う…」
幼女「ふぇぇ…くれーぷおいしいよぅ……」
のび太「やはり…君なのか…さっきからこの異常な…現象を起こしているのは……」
幼女「ふぇぇ…みんなさむそうだよぅ……」
のび太「きみ…今すぐ……この……吹雪を………」
幼女「ふぇっwwwwふぇぇwwwwwwwwwww」
のび太「!?」
幼女「ふぇぇwwwwwみんな倒れていくよぅwwwwwwwwwwwwwwww」
のび太「………『悪意』の無い…無垢な悪ほど…邪悪なものはない…ッ!」
のび太は女の子のフードを掴み上げた
幼女「…ふぇぇ…?」
のび太「戻すんだッ!全て元通りにッ!!」
幼女「ふぇぇ……おにぃちゃんこわいよぅ…」
のび太「元に戻すんだよッ!出来るだろうッ!?」
幼女「――ガイアの潮流よ、我が身を纏い 虚大なるスピラを成さん」
ドパァ―――z___ン☆
――――――…
のび太「――――…時が戻った……!」
閉じているシャッターの前で
少女がぼんやりと両手を見つめていた
幼女「ふぇぇ…くれーぷ無くなっちゃったよぅ………」
のび太「こんなぶっ飛んだ超常現象を起こせる道具があるとすれば……!」
のび太「自分で魔法を作って使える道具…『魔法事典』だけだ!!」
※魔法事典
この辞典に書き込むことで、魔法が使えるようになる
『魔法事典』は魔法が自由に作れる反面
デメリットがあった
それは、持ち主以外の者が偶然その呪文を唱えても、魔法が発現するという点である
そして使用者が作った呪文を『逆から唱える』ことで、使用者の魔法の効力が消えてしまう
のび太「しかしあんな長い詠唱……デメリットどころか最強じゃあないか……!」
幼女「ふぇぇ…?」
のび太「君、どこでこの道具を?……それに、シールか何か貼られなかったかい?」
幼女「ふぇぇ…あしたもらったよぅ…まほうがつかいたぃっていったら…もらったよぅ…」
のび太「は…?」
幼女「あした、みどりのしーるをはられて…あおいたぬきさんに本をもらって…しーるもはがしてもらったよぅ…」
のび太〈…あ、頭がパニックで割れそうだ……時が戻ったからジキルハイドを飲んでいない状態なのか僕は…〉
のび太は必死に少女の言葉を整理した
のび太「明日この子は緑のシール、つまり階級ワッペンを貼られる……明日って事は未来から来たのか?」
のび太「そして青い狸さん、即ちドラえもんに『魔法事典』をもらう…」
のび太〈『魔法事典』…僕はすっかり忘れていた。目の前で数回魔法を使われてやっと見当がついたくらいだ……〉
のび太「その後、ドラえもんはわざわざ貼ったワッペンを剥がした……」
のび太「……緑の階級ワッペンは確か『一等兵』だったな……」
のび太〈……う~ん限界だ……知恵熱で死んじゃう………〉
のび太は一日分あろうかという程の量のジキルハイドを目一杯口に含んだ
のび太「明日の事を含むんだ。状況は理解できなくてもいい。それでもいくつかのケースを想定しておかなければ……」
のび太「僕は今日ドラえもんを探し当てるつもりだった…仮説としては、この後、僕はドラえもんに『魔法事典』で殺されて…」
のび太「翌日、入れ違いで部下が引き込んだこの子に、面白半分で道具を渡してみたら…この子が魔法でワッペンを剥がして過去に遡った……?」
のび太「そして今、僕の目の前にいる……辻褄を合わせるとしたらこんなところかな。」
のび太は取り寄せバッグを使い
少女から『魔法事典』を取り上げた
幼女「…ふぇぇ…?」
のび太「悪いけど、この『魔法事典』、没収させてもらうよ。これは危険すぎる」
幼女「………」
のび太「じゃあね、ママのところに帰りなよ」
幼女「…ふぇぇん……かぇしてよぅ……」
のび太「駄目だ、もう一度言うけどこれはとても危ない道具で…」
幼女「――…混沌の渓谷より吹きし死の風よ、大地の息吹を天に還し 宵闇を纏いし深き朱を砕け」
のび太「!」
ドパァ―――z___ン☆
幼女「ふぇぇwwwwふぇぇwwwwwwwwwwwwwww」
快晴だった天気は一変し
街に猛吹雪が吹き荒れる…!
幼女「ふぇぇwwwつめたいよぅwwwwwwwww」
ビュゴオオオオオオオオオ……
のび太「…やっぱり君なんかに、こんな危ない物を持たせるわけにはいかない…」
幼女「ふぇ…」
のび太〈この『オールシーズンバッジ』があれば、猛吹雪だろうと僕の周り数メートルには影響がない…!〉
幼女「……………」
幼女「――…今に連なる総ての始まりと終焉を司るデウスの腕≪かいな≫から 我を安息の地へと誘い給え」
幼女「ガイアの潮流よ、我が身を纏い 虚大なるスピラを成さん」
ドパァ―――z___ン☆
ビュゴオオオオオオオオオ……