ゲーセンという、お互いに好きな場所だから、ついつい気を許して口をついて出たんだろう。
彼女はハッとした顔だった。
俺「お兄さん…ですか?」
彼女はかぶっていたキャスケット帽を深々とかぶり直した。
俺「なんですかソレ…」
彼女は苦笑う。
彼女「わたしには兄がいるんだよ…小中学生の時はよく一緒にゲーセンに来たよ」
彼女「だからわたしはゲーセンが好きになったんだけどね。」
俺「お兄さんもゲーセン好きだったんですね?」
彼女「うんw好きなんてもんじゃなかったよ。」
彼女「お兄は絵が大好きだったから、みんなにやってもらえるアーケードゲームを作りたいって、いつも言ってた。」
俺「それはすごいですね…」
彼女「でもね。」
彼女「ウチは厳しいから…お兄は美大に行きたかったんだけど、親に
旧帝大以上の大学じゃないとダメだ、って言われて…」
彼女「東大に行ったの」
俺「え、すごいじゃないですか!」