俺達はそれから2時間歌い続けた。女さんの歌の趣味と俺の歌の趣味が似ていて嬉しかった。
笑子「ぷは~!ひさっしぶりに歌ったよ!」
友「あー、あー。ヤベェ声枯れてる」
笑子「あはは!大丈夫だよ、元から汚い声なんだし!」
友「あ、そっかぁ!汚い声で得したなぁーって、それ酷くない!」
笑子「あははは!」
笑子と友はいつのまにやら、仲良くなっていて二人ではしゃぎながら歩いている。ふと空を見上げると丸い月がポッカリ浮かんでいた。
男「子供の頃って月が怖かったんだ」
女「どうして?」
男「俺を監視しているみたいでさ。で、逃げても逃げても何処までもついて来るんだ。物陰に隠れても無駄さ。月は俺を見失わずにずっとそこにいるんだ。」
女「今は?まだ怖い?」
男「いや、流石にもう怖くないよ。」
月には雲が少しかかり、雲間から月明かりが漏れている。
男「今夜の月は綺麗だ」
女「・・・本当に」