同時刻
女友「い~まからそいつを、これから~そいつをなんぐりに~いこうかぁ~」
女友は一人で2時間休みなく歌い続けていた。浜崎あゆみに飽きると中島みゆき、中島美嘉、都はるみ、いきものがかり、山本リンダ、チャゲアスと飽きが来ないように工夫していた。
プルルル
女友「はい。・・・え?もう時間ですか?え?延長?はい、します」
女友「は!そういえば女っち遅い!・・・ま、いいかぁ、よーし今日はオールだ!」
こうして女友は一人、オールナイトで熱唱し続けるのであった。
男君達と別れて、家までの道を一人で歩く。カレーの匂いがする家、楽しそうな笑い声が聞こえる家、玄関でお父さんに抱きついている小さな男の子。
女「・・・」
私の家は真っ暗でどの窓からも明かりは見えない。カレーの匂いもしなければ、笑い声も聞こえてこない。
女「ただいま」
玄関で靴を脱ぎ、リビングルームに続く廊下の電気を点ける。
スーパーで買った食料を冷蔵庫に詰め込むとどっと疲れが押し寄せてきて、ソファに横になり目を瞑った。今日は料理をする気になれなかった。
女「楽しすぎると、一人になった時に寂しすぎるじゃない」
友情も愛情もよく分からない。薄いガラス細工で出来た繊細な芸術品みたいで、眺めるだけなら問題ないのに触れば壊れてしまいそう。
女「私は上手く出来てるの?教えてよ。ママ」
ガラス細工が壊れるのが怖い。そして、それ以上に破片で自分が傷付く事が怖かった。