【※ドラえもん※】なんと、高校生になった出木杉は落ちこぼれになっていた。教師「出木杉くん。」出木杉「・・・・・・はい。」

【口論】

どこでもドアの行き先として、僕は小学校の裏山を指定した。

財布を持たずに出てきてしまった以上、カフェはマクドナルドには入れない。

それに、あまり人のいる場所では話をしたくなかった。

静かで、落ち着けて、人のいない場所。

僕の狭い行動範囲の中で、思い付くのはここしかなかった。

ドラえもん「久しぶりだなぁ。裏山、もう何年も来てなかったんだよ。この一本杉も変わらないなぁ。」

ドラえもんは一本杉の幹を撫でながら言った。

きっと、のび太くんとの思い出を振り返っているんだろう。

この場所は確か、のび太くんのお気に入りだったと聞く。

今から話す話題にはうってつけの場所かも知れない。

ドラえもん「それで、何があったの? 何でも聞くよ。」

出木杉「ありがとう。実は・・・・・・」

僕は全て話した。

学業の事。


母さんに当たってしまった事。

のび太くんとしずかちゃんの事。

そして、今の僕の心境。

ドラえもんは母さんの件まではただただ驚いた様子で、相槌変わりに驚嘆の声を挟みながら聞いていた。

だが、話があの二人に及んだ辺りから表情が暗くなり、次第に相槌のトーンも低くなり出した。

泣きそうな顔で僕を見つめる。

彼の感情がそういった表情を作るのか、それとも高度な人工知能の為せる技なのか。

それは分からない。

ドラえもん「・・・・・・。」

出木杉「・・・・・・。」

全てを語り終えた。

ドラえもんは泣きそうな表情を崩さず、ただ黙って僕を見つめる続ける。

時おり足下に落とす視線は、僕にかけるべき適切な言葉を探しているのだろう。

数秒の沈黙の後、ドラえもんは口を開きかけた。

ドラえもん「出木杉くn」

出木杉「使ったんだろ?」

僕はドラえもんの言葉を遮った。

人工知能で紡いだ危なげない慰めなんて欲しくない。

何より、僕が最も訊きたいのは今から言う内容だ。

ドラえもん「・・・・・・道具を?」

出木杉「そうさ。君ならできるだろ? その未来の技術を使って、人の心を自在に操る事ぐらいさ。」

ドラえもん「それは・・・できるけど・・・・・・」

出木杉「のび太くんがそんな便利な道具を使わないワケがないよな? 言えよ、ドラえもん! 君は道具を使ってしずかちゃんの心を操って、のび太くんとくっ付けたんだろ!?」

自分でも無意識のうちの声が激しさを帯びてくる。

頭皮がジワジワと嫌な熱を帯びてくるのを感じながら、僕は続けた。

出木杉「勉強でもスポーツでも、ズルをして満足できるなら勝手にすれば良いさ!! 所詮、君や彼のプライドはその程度のレベルなんだろうからね!! 」

出木杉「だけど、超えちゃいけない一線ってあるだろ!! なぜ君の人工知能でそれが分からない!? 他人の感情を、恋愛の自由を奪って意のままに操るなんて!! 何様だよお前ら!!」

ドラえもん「・・・・・・。」

出木杉「なんでお前らなんかにしずかちゃんを奪われなきゃいけないんだよ!! ふざけるなよ!!」

ドラえもん「出木杉くん、違うよ・・・・・・」

出木杉「お前ら、僕がしずかちゃんにフラれたのを道具でこっそり盗み見て笑ってたんだろ!!」

ドラえもん「違う・・・・・・」

出木杉「人の心を踏みにじったり操ったり、良いご身分だな!! 楽しかったか!?」

ドラえもん「違うったら・・・・・・」

出木杉「僕はずっとしずかちゃんが好きだったんだ!! ずっと、ずっとずっと!!」

ドラえもん「聞いてよ・・・・・・」

出木杉「何が未来を変えるだよ!! 自分の身かわいさに他人の未来も希望も奪い取って、お前r」

ドラえもん「いい加減にしてよ!!!!!!!!」

出木杉「!?」ビクッ

鼓膜を突き破るかのような突然の叫び。

僕はたじろぎ、次に投げ付けようと構えていた言葉を取り落とした。

ドラえもんは僕の瞳を真っ直ぐ睨み付けている。

その大きな目に涙を湛えて。

ドラえもん「勝手な事ばかり・・・言わないでよ・・・・・・のび太くんの事、何も知らないで・・・」グスッ

出木杉「・・・・・・か、勝手な事って何だよ!?」

ドラえもん「何も知らないクセに、勝手に被害者ぶらないでって事だよ!!」

出木杉「何言ってるんだよ!! お前は道具を使ってしずかc」

ドラえもん「使ってない!!!!」

出木杉「ウソを・・・」

ドラえもん「ウソじゃない!!!! 僕はのび太くんが中学に入って以来、彼に一度たりとも道具を貸した事はない!!!!!!!!」

出木杉「!?」

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