【※感動※】後輩女「あなたはわたしと結婚するべきです」男「……そうなの?」

後輩女「………………」

男「わかっただろう? 俺は自分勝手で心の脆い、冷血で他人に依存し切った人間だ。一人で生きていけないから、こんな自分になったことを
彼女への愛の所為にしてる……クズだ」

後輩女「違う……あなたは――」

男「それに、このことを話して君の同情を貰おうとしてる……まったく、死んだほうが良いよ。君には本当に申し訳無いと思ってる」

後輩女「あなたはただ思い出の中の神格化した女さんを愛していただけです。この十年間は女さんはあなたの傍にいなかった」

男「俺が現実の彼女を愛していなかったと言いたいのか?」

後輩女「少なくとも、女さんと会わなかった期間はそう思います。この十年は、きっと」

男「じゃあこの十年はやっぱり俺は無駄な時間を過ごしてきたんだな。妄想の中の彼女を愛してるってことは二次元を愛するオタクなんかより
酷い有様じゃないか。二次元はそこにあるけど妄想は完全に頭の中。小学生がいつか正義のヒーローになりたいと願うこととまったく同じだ。
でも俺の精神は小学生以下だ。小学生の夢はいつか醒めて現実を見る。それは十年という年月も必要としないだろう。俺が見てた妄想は
十年を経過してもまったく色褪せなかった。彼女と会えなかった十年の間も彼女を愛していた。俺の頭の中にいる彼女を……ははっ! 笑える
だろう? もうすぐ三十にもなるいい大人が現実に存在しない女を待ち続けてるんだ! 君の言った通り病院に行った方が良かったみたいだ。
そして二度と社会に出られないように拘束してもらうかそもそもこの存在を消してもらうべきだったんだな!」

後輩女「違う……違う……」

男「違う? 何が違うと言うんだ? 何も違わないだろう? 俺は現実に生きていなかった。ひたすら自分の妄想の中だけで生きていた変人で
狂人だ。そんな存在が世界にましてや君の近くにいるべきじゃないだろう?」

後輩女「わたしが言えるのは……言いたいのは一つです」

男「何でも言ってくれ。こんなガラクタみたいな男なんて……蔑まされて当然だ」

後輩女「わたしはあなたが好きです。それはあなたがどんな存在であろうと変わることはありません」

男「………………」

後輩女「あなたと話すのが楽しい。あなたの優しさが嬉しい。あなたといると幸せです。だからずっと一緒にいたい……あなたに愛されたい……
あなたと結婚したいくらい――」

男「ふ……そうくるのか……君の物好きにも程があるよ。こんなジャンクを……」

後輩女「……いえ、言い間違えました……今のはわたしらしい言葉ではありませんでした。最後の言葉は聞かなかったことにしてください。
リテイクします……ふぅ……」

後輩女「あなたはわたしと結婚するべきです」

男「……そうなの?」

後輩女「そうなのです。これは決定事項です。異論は認めません」

男「……そうなんだ」

後輩女「わたしはあなたを愛しています。だから、あなたから愛されたい。それだけがわたしの望みです」

男「………………」

後輩女「念の為、返事をください。はいかイエスで受け付けます」

男「……君はやっぱり我侭だな」

後輩女「あなたの愛がほしいからです。それ以外、何もいりません」

男「愛以外いらない……か。俺にもそんな時期もあったな……」

後輩女「昔のことはもう良いんです。いつまでも眺めていないで、思い出の中に置いていくべきです。それは、今のわたしたちにはいらない。
わたしを見てください……現実のあなたの目の前にいる、後輩女という存在を」

男「そうかもしれない。俺は今も思い出の中で自分のしなかったことを後悔してる。どうして早く想いを伝えなかったんだろう……でもわかってる。
こんな俺じゃ、彼女を幸せに出来ない。それは俺の役目じゃない。それを知っていたから俺は……」

後輩女「そうです。それはあなたの役目じゃなかった。だから目の前にわたしがいる。あなたのしなかったことは間違いじゃないです」

男「君に惹かれている感情はきっとまだ愛に満たない。子猫に対する保護欲のようなものだよ……」

後輩女「これからで良いんです。あなたが初めからわたしを愛してくれていたら、わたしはこんなにもあなたに夢中にならなかったかもしれません。
初めからあなたに愛されていなかったからこそあなたを好きになって、こんなにもあなたの愛を欲しがっています」

男「こんなに何も無い俺を……君は愛しているのか?」

後輩女「信じられませんか? あなたに何が無くても、わたしは愛しています」

男「例えばの話……君は、俺が金も時間も……昔からの友人も無くしても、それでも愛せるのか?」

後輩女「はい。愛します」

男「じゃあ、夢も情熱も、地位も無くしても……!」

後輩女「変わりません。愛します」

男「なら! 仕事も! 車も!! 免許証もっ!! 馬鹿馬鹿しい思い出も無くした俺を、まだ君は愛せるかっ!?」

後輩女「そんなこと何の問題にもなりません。わたしはあなたを愛します」

男「……っ!!」

後輩女「愛します。あなたにそんなものが無くたって、わたしはいつも通り、相変わらず、あなたを愛し続けます」

男「なんで……」

後輩女「決まっています。わたしはあなたを愛しています。あなたを愛することにそれ以上の裏付けなんて必要ありません」

男「………………」

後輩女「そんな顔、しないでください。信じられないのなら、わたしはどんなことでもします。キスでもセックスでも、婚姻届に捺印することでも。
あなたが望むこと、何でもしてあげたいんです。それがわたしの為でもあるから」

男「そんな……そんなに自分を蔑ろにするなよ……自暴自棄に……俺みたいになるなよ……」

後輩女「あなたは自分を蔑ろになんてしてない。だって……そうしてきたからこそわたしはあなたに出会えた。あなたを好きになった」

男「そう……なのか? でも俺は……」

後輩女「あなたが今までの自分を卑下するのなら、わたしは今までのあなたに拍手を送ります……それから、悲劇の主人公が報われる
アフターストーリーに、わたしも堂々と参加します。主人公の後輩なんかじゃない、生涯のパートナー、という役で」

男「………………」

後輩女「でも、煙草はもう少し控えてほしいです。少しでも長く一緒にいたいですから……ね?」

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