で、余りにも立ち去らないから
俺にテレビを消させたんだと言っていた。
耳を澄ますと確かにジャッ、ジャッ、
と庭先の方から聞こえる。
本当に怖くなって
「犬か猫でしょ?」
と聞くが姉は答えない。
じっとカーテンの方を睨んでる。
次第に足音が近付いて来るのがわかった。
足音が窓外のすぐ近くで止まった。
怖くてたまらなくなって
姉の腰にギュッとしがみついた。
しばらくして
「あのぉ…、すいません」
甲高い女の人の声が呼び掛けてきた。
姉は答えない。
俺は目をつむり
必死で姉の体にしがみついた。
「起きてますよね?…
困ったコトになったんで、
ココ開けてもらえませんか?」
来訪者が来るには
ズレすぎたこの時間帯と、
深夜の暗さが恐怖をあおり、
怖い夢でも見てる感覚になった。
暫くの沈黙の後、
外にいる女が窓に手を掛ける気配があった。
ガタガタと窓が揺れだした時、
不意に姉が立ち上がった。
俺を振りほどいて
部屋の引き戸を開けた。
「おかーさーん!!
窓の外に誰かいるーー!!
来てーー!!おかーさーーんっ!!」
姉はありったけの声で叫んだ後、
廊下の電気を片っ端から点けて
俺の手を引いて親の寝室まで走った。
寝室に着き電気を点けると、
母さんはまだ寝ていた。
ちなみにウチは母子家庭で
父親はいなかった。
姉が揺すり起こし事情を説明すると、
困惑した顔で
「こんな時間に…
夢でも見たんじゃないの?」
違うよ!と俺が口を挟もうとした時
ピンポーン玄関でチャイムが鳴った。
母さんは驚き、
慌てて玄関に駆けて行った。