【※猫レンジ事件※】猫が雨でずぶ濡れになってる!「よし、電子レンジに入れてあげよう!」結果・・・

真似しちゃダメにゃ


猫「ニャ~ン」ビッショリ…

男「あらら、ずぶ濡れだぜ」

女「やだ~、かわいそう」

男「だったら、猫をレンジに入れて乾かそうぜ!」

女「うん、やろうやろう! きっとホカホカになるよ!」

女「じゃ、入れるね」スッ

猫「ニャ~ン」

女「どのぐらいあっためる?」

男「900Wで10分くらいでいいかな」

女「オッケー!」ピッピピッ

ウイーン…

女「アハハ、回ってる回ってる」

男「これならきっと、すぐ乾くはずだ!」

女「体だけでなく、骨までホカホカになるよね!」

男「ああ、電子レンジのマイクロ波は体内まで温めるからな!」

ウイーン…

男「もうそろそろ10分だな……」ゴクッ

女「うん……」ドキドキ

ピーピーピー

男「終わった……」

男「よし……開けるぞ」

女「ドキドキするね……」

男「さあ、どうぞ」ガチャッ

モワァ~…


猫「……」

男「あ、あの……」

女「いかがでしたでしょうか、猫さん?」

猫「……ぬるい」

男「え……ッ」

猫「ぬるい、ぬるい、ぬるい、ぬるい、ぬるい、ぬるい、ぬるい、ぬるい、ぬるい、ぬるい」

女「あわわ……!」

猫「ぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるいぬるい」

男「あ……ああ……」ガタガタ…

猫「ぬるすぎるわァッ!!!」

猫「貴様ら、こんなオモチャで吾輩を乾かそうと思ったのか!?」

猫「こんなものでは10分どころか100分入ったところで、どうにもならぬ!」

猫「吾輩の肉体は乾かせても、ずぶ濡れの心までは乾かせぬわァッ!」

猫「貴様ら、吾輩の精神的湿度をナメておるのかァァッ!」

男「ひ、ひいいっ!」

女「申し訳ありません!」

猫「そう……ずぶ濡れの心までは……乾かせぬのだ……」

『ニャ~ン』

『ごめんね、ごめんね……ぼくがバカだったせいで……』

猫「……」

猫「吾輩を失望させた罪は重い。覚悟はできておろうな?」ギロッ

男「ヒイッ、お待ち下さいませ!」

猫「弁解か……述べてみよ」

男「有り難き幸せ!」

男「今回の不祥事、おそらく電子レンジのパワーが不足していたのが原因かと……」

猫「レンジが悪いと申すのだな」

男「は、はいっ!」

女「そうです! 私たちは悪くありません!」

猫「……」

男「……」ガチガチガチ…

女「……」ドキドキドキ…

猫「ならば訴訟だ」

男「え……ッ」

女「ま、まさか……」


猫「この電子レンジのメーカーに訴訟を起こせィッ!!!」

男女「は、ははーっ!」

猫「ゆくぞ」ニャン

男「あ、あの……」

女「私たちもご一緒して、よろしいので?」

猫「当然だ」

猫「裁判はハードな務め……猫の手も借りねばならぬ」

男「ははーっ!」

女「光栄ですわ!」

猫「それにしても狭い裁判所だ。開放感がなく、窮屈でかなわぬ」

猫「まるで猫の……」

猫「猫の……」

猫「えーと……猫の……」

男「猫の額ですか?」

猫「知ってた!!!」

男「あっ……来ましたよ」

女「電子レンジメーカーの社長と弁護士だわ!」

猫「ほう……」

社長「クックック、愚かなるユーザーが訴訟などを起こしたか」

社長「あのようなクレーマーは徹底的に叩き潰さねば気が済まん。頼みましたぞ、先生」ニヤッ

弁護士「……お任せ下さい」

女「社長は傲慢そうで、弁護士は冷酷そうで、手強そうね……」ゴクッ

男「でも、大丈夫さ! こっちには猫さんがいる! ですよねえ!?」

猫「にゃ、にゃん」

男(借りてきた猫のように大人しくなってる!)

男「肉球に猫という字を書いて飲み込むと、緊張がほぐれますよ」

猫「迷信は好かぬ」ジロ…

男「も、申し訳ありませんッ!」

猫(やっぱりやってみるか)カキカキ ゴクン

裁判長「原告・被告ともに揃ったようですね」

裁判長「これより裁判を始めます」

裁判長「両者とも、サイバンマンシップに乗っ取り、正々堂々弁論を繰り広げて下さい」

裁判長「では……まずは原告からどうぞ」

猫「うむ」

猫「吾輩はこの二名に命じて、吾輩の体と心を電子レンジにて乾かそうとした」

猫「しかし……心は結局乾かなかった」

猫「これは貴様らメーカーの電子レンジのパワー不足のせいである! 断じて許せぬ!」

猫「よって、猫の日にちなんで慰謝料を222万円要求する」

社長「なるほどなるほど……そうきたか」

社長「クックック……」

社長「ハッハッハッハッハ……」

社長「反論できません!!!」

猫「む!?」

男「え!?」

女「なんですって!?」

社長「この裁判……我々の敗訴です」

社長「今すぐ慰謝料を払わせていただいまするぅ~~~~~~!」

裁判長「むう……これは……早くも決着――」

弁護士「お待ち下さい」

社長「弁護士君、無駄だ! 終わりだ! Mr.キャットの理論は完璧すぎる!」

社長「ここは慰謝料を払うしかない! それしか我が社の生き残る道はないのだ……!」

弁護士「そんなことはありません」

弁護士「原告に申し上げる」

弁護士「電子レンジとは本来、食品を温めるためのもの」

弁護士「こちらとしては、生きてる猫を入れることなど全く想定していない!」

弁護士「よって、慰謝料など払う必要はこれっぽっちもない!」

社長「弁護士君、それは屁理屈だよ! 詭弁だよ!」

猫「ぬう……」

猫「なにを申しておるか」

猫「あの電子レンジの説明書には、“猫を入れてはいけません”とは書いてなかった!」

男「そうだそうだ!」

女「その通りよ!」

猫「説明書に書いてない以上……貴様らには“説明不足”という罪がある!」

社長「まさしくその通りだ……完璧だ……! 今すぐ慰謝料の用意を……」

弁護士「……」

弁護士「説明書に書いてなかった? ――ハッ、そりゃそうでしょう」

猫「な、なにっ!?」

社長「な、なんだと!?」

弁護士「常識で考えてみて下さい」

弁護士「さっきもいいましたが、電子レンジとは食品を温めるための家電製品……」

弁護士「いくら説明書に書いてないからといって、猫を入れる人はいませんよ」

弁護士「入れる人がいるとしたら、そりゃただのバカです」

弁護士「ましてや、自分から入るなど……」

弁護士「あなた……よほどの バ カ なのでは?」

猫「ぬ、ぬう……ッ」

社長「君、お客様に失礼だぞ! 訂正したまえ! 慰謝料を払おう!」

弁護士「あんたは黙ってろ、バカ社長。今が勝訴か敗訴かの分水嶺だ」

社長「ひゃ、ひゃいっ!」

弁護士「ウチの製品は常識をわきまえた人向けの製品」

弁護士「常識のないバカを想定していたら、説明書を広辞苑ばりにブ厚くしなければならなくなる!」

弁護士「よって、説明書にいちいちそんなもの書く必要はない」

弁護士「電子レンジで猫を温めたなどという事例に、慰謝料を払う必要は一切ない!」

猫「わ、吾輩は……吾輩は……ッ!」

弁護士「ウチの会社の客に……バカはいらんのだ!」

弁護士(そう、バカはいらない)

『ごめんね……うちのアパート、ペット禁止だって知らなくて……』

『ごめんね、ごめんね……ぼくがバカだったせいで……』

弁護士(バカは悲劇しか生まない)

弁護士(だから私は猛勉強して、弁護士になったのだ!)

弁護士「認めるのですか? あなたはバカだと」

猫「わ、吾輩は……吾輩は……ッ」

猫「吾輩はバカである!!!」

男「猫さん……!」

女(こんな弱々しい猫さんを見るのは初めてだわ……)

ザワザワ……

「決まったな」 「さっすが敏腕弁護士だぜ……」 「あの猫も善戦したけどな……」

弁護士(もはや勝訴は見えた……ダメ押しといこう)

弁護士「あなたの心とやらは、なぜ濡れていたんですか?」

弁護士(どうせバカな理由だろう……それを叩きのめして完全勝利をもぎとる!)

社長(弁護士……なんて外道な! 卑劣なッ! 許せないッ!)

男「猫さん……ッ!」

女「猫さん……」

猫「分かった……全てを話そう」

猫「30年前のことだ」

裁判長「ずいぶん長生きな猫ですな」

猫「吾輩は当時、捨て猫でな。未熟ゆえ人間の言葉を話すこともできなかった」

猫「なすすべなく寒さに震えていた時、ある心優しい少年に拾われたのだ」

弁護士「!」ピクッ

猫「だが――」

猫「その少年のアパートは……ペット禁止だった」

猫「少年は両親にこっぴどく怒られてしまった」

猫「だからその少年は……吾輩を再び捨てることになったのだ」

弁護士「……」ハァハァ

社長「弁護士君? どうした? お水飲む?」

弁護士「ぐっ……」

弁護士「つまり、あなたの心は……その少年を憎み恨んで……30年間ずぶ濡れだったと?」

猫「……」

弁護士「そうなんだろう!? ハッキリいってくれ!!!」

猫「そうではない」

弁護士「!!!」

猫「あの時の少年の悲しそうな顔……今でも忘れられぬ」

猫「吾輩は一瞬拾ってもらっただけでも嬉しく、再び捨てられたことなど微塵も気にしていなかった」

猫「だが、当時の吾輩にそれを伝える術はなかった」

猫「だから、あの少年は今でもあの出来事を悔いているのかと思うと――」

猫「吾輩の心はびしょ濡れになってしまうのだ……」

男「猫さんにこんな過去が……」

女「だからいつも、体を水で濡らしていたのね……自分を罰するために……」

弁護士「……」

弁護士「……私なんだ」

猫「え?」

弁護士「その時の少年は……私なんだッ!」

猫「おお……! そういえば面影がある……!」

弁護士「君こそ……すっかり貫禄がついていて、話を聞くまで全然気づかなかった……!」

猫「ようやく……会えた……」

弁護士「ごめんよ……あの時は捨ててしまって……」

弁護士「私がバカだったから……ぬか喜びさせて……」

猫「なんの……これっぽっちも気にしてないさ……」

弁護士「大きくなったね……」

猫「ニャ~ン……」

ギュッ…

猫(やっと……吾輩の心が……乾いた……)

――

弁護士「本当にいいのかね?」

猫「ああ……今さら飼い猫になるというのも照れ臭いしな」

猫「吾輩はこれからも野良として生きていくよ」

猫「それに……今はこのバカップルの親分みたいなものになってるしな。こいつらを放ってはおけん」

男「てへへ……」

女「えへへ……」

弁護士「そうか……ならば君を飼うのは諦めよう」

猫「しかし、いずれ貴公の事務所にも立ち寄らせてもらおう」

弁護士「おいしいキャットフードを用意して待っているよ!」

猫「楽しみにしておこう」

弁護士「ああ、あと……これは社長からの慰謝料だ」サッ

猫「和解したのになんで慰謝料?」

弁護士「まあ……そういう人なのだ。受け取ってあげてくれ」

男「さ、行きましょうか、猫さん」

猫「うむ」ニャン

女「ところで、もらった慰謝料はどうするんです?」

猫「ふむ……吾輩が金をもらったところで猫に小判だからな……」

猫「捨てられた動物たちを保護する団体などに、寄付するとするか」

男女「さっすが猫さん!」

猫「吾輩は……猫である!!!」

おわり

「猫レンジ事件」「猫電子レンジ訴訟」などと呼ばれる事件。
とあるおばあさんが電子レンジをプレゼントされ、その機能を大層気に入り活用していた。ある日、飼い猫がずぶ濡れになって帰ってきたため、おばあさんは電子レンジを使って猫を乾かそうと考えた。猫を電子レンジにいれ温めをスタートしたところ、爆発を起こし、猫は亡くなってしまった。

そこで、おばあさんは電子レンジの取扱説明書を確認したが、「動物をいれてはいけない」という明記はなかったため、電子レンジの販売元を相手に訴訟を起こした。その結果、おばあさんの主張は認められ、多額の賠償金を手に入れることとなり、電子レンジの説明書には「動物をいれないでください」という注意書きが明記されるようになった。

出典:http://ssplus.blog.jp/archives/14677403.html