駅前の広場に行って、煙草に火を点け、
最後の一本を時間をかけて味わった。
煙草もそろそろやめなきゃな、と思う。
金食い虫だし、健康にもよくねえからな。
近くで鳩に餌をやっている老人がいたんだが、
それで食欲が湧いてしまう自分が情けなかったな。
もうちょっとで鳩と一緒に地面をつっつくとこだったぞ。
寿命、高く売れるといいなあ、と思った。
駅で時間を潰した後、俺は少し早めに店に戻り、
ソファでうたた寝しながら査定結果が出るのを待った。
二十分ほどして、俺の名前が呼ばれた。
妙だよな。俺、一度も名乗った覚えはないんだよ。
査定結果を見て、俺は変な声をあげちまった。
一年につき一万円? 余命三十年?
ブックオフだってもう少しまともな値段をつけるぞ。
カメか何かの結果と取り違えたんじゃないのか?
でも、そこには確かに俺の名前が書いてある。
「これ、何を基準に決められてるんですか?」
俺はそう言いつつ査定表を女店員に見せた。
「色々です」と彼女は面倒そうに答えた。
「幸福度とか、実現度とか、貢献度とか、色々」
多分、こういう質問に飽き飽きしているんだろうな。