のび太「っ……!!まずい……!『タイムふろしき』で傷を……!」
真新しい傷口を風呂敷で押さえながら
のび太は思考をフルに回転させていた…
平静を保とうとする程、いつもより早い動悸が焦燥感を煽る…
それは、この攻撃を突破する糸口が掴めなかったからに他ならない…
現在、自分を襲っている敵が
今まで戦ったどの相手よりも『格』が違う事を認識せざるを得なかった
のび太〈攻撃が止んだ…追撃してこない……!?〉
のび太「考えられるとすれば遠距離からの攻撃……しかし……!」
再び激痛が走る…
今度は腕から血しぶきが上がった…!
のび太〈傷を付けられている方向が毎回違うッ!!この敵は近くに居る―――ッ!!〉
のび太は腕を治す為、視線を下ろす――――――…
ガヤガヤ・・・ガヤガヤ・・・
のび太「――――――…何の…声だ……?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
のび太「――――――……!」
のび太〈……僕は街の本道を抜けて住宅街へと入った……!〉
のび太〈そして『准士官』を倒して……!ドラえもんを探して…――――〉
のび太〈それまでに僕は何かされていたのか……?〉
のび太〈い…いや、僕の意識は…!僕は至って正常だった!〉
のび太〈それなのに何故だ……?何故、僕はここに――――――
「―――――さぁ今週のミュージックチャンネル!如何だったでしょうか?」
バァ――z___ン!!
のび太が立っていた場所は
先程時間を潰していた街の本道であった…!
――――――……
スネ夫「ああっ、あそこ!ねぇジャイアン!!」
ジャイアン「あれは…!のび太!?おい、どうしたのび太!!しっかりしろぉ!!」
抜け出したのび太の安否が気にかかり、街に繰り出した二人は
街からやや離れた裏通りにて、電柱にもたれ掛かる様にして倒れていたのび太を見つける…
意識を確かめるように二人が必死に肩を摩るも
のび太のその目は焦点が合う事無く宙を漂い 表情は燃え尽きた炭の如く困憊しきっていた…
スネ夫「僕が…僕が単独行動を許したばっかりに……!」
ジャイアン「スネ夫!悔やむのは後だっ!とりあえずここはまずい…担いで家にかえっぞ」
?「そういう訳にはいかんな…」
スネ夫・ジャイアン「!?」
ジャイアン「なんだよオッサン!こいつは…のび太は俺達の…!!」
ジャイアンの言葉を遮るように男は手帳を見せる…!
スネ夫「ジャイアン……本物の警察だよ…!」
ジャイアン「…っ!」
警部「7月13日に学校で起きたテロ事件…この子はその重要参考人なんだ…」
警部「君たちに憎まれても構わない。だが私は、テロに巻き込まれた自分の子供の無念は晴らしたいと思っている…!!」
スネ夫・ジャイアン「……!!」
警部「事件解明の糸口を見つけたい。悪いが、この子は連れていかせてもらうよ…」
ただならぬ男の熱意と気迫に
二人は何も言い返す事が出来なかった…