のび太「勝機なら…ある!……というより…君のおかげで今思い浮かんだ!」
スネ夫「本当か!?」
のび太「君も一緒に戦ってくれるかい……?」
スネ夫「勿論協力させてもらうけど……この状況でどうすりゃいいんだ…?」
のび太「……この水が良い……!」
スネ夫「?」
のび太「この隙間から滴る水がいいんだ!いいかい…」
水ナイフによりとうとう車は突き破られ
誘導ミサイルが再び作動する…!
しかし、車内は既にのび太達の脱出した後であった…!
―――――――――……
女「……反応が無いから仕留めたと思ったけど……ナイフの軌道が変わった……!」
大尉「……」
女「また逃げたのか……それとも…!!」
男「おい女!いい加減にしろ!!」
女「何だい…!口出しなら受け付けないよ…!」
男「大尉も何か言ったらどうなんだ!」
大尉「俺には何も言える資格はねぇ……けどよ、俺達の思いはこんなもんじゃねぇ筈だ……」
男「…!」
女「……あいつは牢を出るときに、ちゃんと協力を承諾してくれたんだろ?」
男「あ、ああ……大体話したけど……」
女「あいつは私達の心境を知りながら、それを蹴ったんだ……他に目的があるなら…相応の思いを示してもらわないと……!」
女「あたし達が……バカみたいじゃないかッ!!」
?「まったくだ!!お前達は…大馬鹿野郎だよ!!」
三人「!?」
三人が後ろを振り返ると
そこにはのび太にもスネ夫にも似た奇妙な男が佇んでいた…!
大尉「何だこいつは!?」
女「背後に回られた…何時の間に!?」
振り返りざまに女が放った水ナイフや誘導ミサイルを
奇妙な男は全て空気ピストルで弾いて見せた…!
男「は……速い…!!」
女「……何者だお前は!!」
?「僕は………『のび夫』ッ!!」
のび夫〈攻めるのも逃げるのも駄目なら……両方やればいい……!!〉
車から脱出する前…
のび太とスネ夫は『ウルトラミキサー』で合体し
天井から滴る水で濡らした『三倍時計ペタンコ』を体に貼る事によって
自身の速度を3倍に上げたのである
この『三倍時計ペタンコ』……ドラえもんと対峙するまで取っておきたい道具であったが
スネ夫の覚悟と誠意に答える為、のび太はあえてこの道具を使った
のび夫「今の僕なら『7秒』でこの場全員を仕留める事が出来る…!!」
大尉「………!!」
女「くそっ……こんな筈じゃ…!」
のび夫「もう……諦めるんだ…!」
にじり寄るのび夫の前に
男が立ちふさがる…!
大尉・女「男……!!」
のび夫「何で庇うんだ!こいつらは目的の為なら手段を選ばない…残酷な奴だ!!」
男「二人も俺も……始めから残酷だったわけじゃない……!」
のび夫「だけど……!」
男「後ろの二人は……妹の無念を晴らす為に……必死だったんだ……!」
のび夫「……!!」
――――四人は同じ児童養護施設で出会った
無責任な、あるいは哀れな両親により
壮絶な幼少期を過ごして来た彼等の心は脆く荒んでいた……
互いの心の隙間を埋めあうかの様に寄り添う四人…
辛い時や苦しい時も兄弟の様に分かち合い共に過ごして来た
苦い経験……いつしかそれは思い出へと変わり
四人は遅れながらも人並みの至福を取り戻していた…
しかし、その幸せはいとも簡単に踏みにじられてしまう……
女の妹が殺されたのだ……
男「俺達は許せなかった……!だから、復讐する事を決めた…!」
男「その過程でおかしな組織にまで関わってしまったけど……今日、やっと復讐の機会が巡ってきた…!!」
のび夫「……!」
男「勝手な話かもしれないが……見ず知らずのあんたが最後の希望だったんだ………」
男「今回ばかりは俺達も……心を鬼にするしか無かった……!」
『そして……貴様ら子羊は愚かにもこの私に対し悪巧みを企てたわけだ…』
突如、空に暗雲が立ち込め
不気味な声が響き渡る…!
のび夫「何だ……空が…曇っていく……!」
男「こ…この声は……!!」