ドラえもんは『タイム手袋』を装着し、『タイムめがね』をのび太に向けた
ドラえもん「君は『タイムホール』を使い慣れてない、これなら先に僕が取り出せられる」
のび太は眉ひとつ動かさず、ドラえもんを見据える
ドラえもん「……」
ドラえもんものび太も、お互い微動だにせず睨み合う…
ドラえもんが『タイムめがね』を使って奪うのは間違いなく
のび太が早朝持って行ったスペアポケット
しかし、ドラえもんは結論を出せずにいた
仮にスペアポケットを過去から奪った場合、今朝からの出来事はどうなるのか…
1、自宅で撃った熱戦銃が、のび太を灰にするのか
2、『現実ビデオ化機』で既に何通りか出来事を経験済みであり、何らかの対策で逃げられてしまうのではないか
3、逃げられた場合『なくし物取り寄せ機』に対処したのび太の道具〈あなただけの物ガス〉は『過程』なのか『結果』として扱われるのか
4、埋めようの無い大きなタイムパラドックスが生じる為、タイムパトロールが阻止しに来るのではないか
ドラえもんが優位な事に変わりないが
パラドックスの埋め合わせによっては自滅する恐れがあり、迂闊に行動に移すわけにはいかない……
ドラえもん「どのみち僕が先手を取れるんだ」
先に動いたのはドラえもんの方だった
ドラえもん「一番リスクが少ない手は…これだッ!」
ドラえもんは『タイムめがねとタイム手袋』で先程の のび太から
壁紙ハウスに収納しようとしていた『タイムホールとタイム取り餅』を奪う
そして『タイムホールとタイム取り餅』と自分の持つ『タイムめがねとタイム手袋』をミサイルで破壊した
のび太「タイムパトロールを警戒して消極的になっているね、と言いたいところだけど…」
のび太「その道具を確保していたのか……単純に、無駄なリスクを省いたとも言えるわけだ…」
ドラえもんの使ったミサイル、のび太は見覚えがあった
ドラえもん「そう…この『無敵砲台』さえ確保していれば、どのみち僕に勝てる者はいないからね」
無敵砲台
地球のどこかに砲台を設置しておけば命令ひとつで
二の腕程の小型誘導ミサイルを目の前の敵に撃ち込める
文字通り無敵の道具である
ドラえもん「さぁ!地獄の日々を味あわせてやるッ!!」
ドラえもんの怒声と共に
どこからともなくミサイルが飛来してきた!
のび太「過去を切り取るというのは危険な事だ…」
ドラえもん「!?」
狙いを定めたはずのミサイルがのび太の体をすり抜ける…!
ドラえもん「どのみち僕が先手を取れるんだ」
先に動いたのはドラえもんの方だった
ドラえもん「一番リスクが少ない手は…これだッ!」
ドラえもんは『タイムめがねとタイム手袋』で先程の のび太から
壁紙ハウスに収納しようとしていた『タイムホールとタイム取り餅』を奪う
そして『タイムホールとタイム取り餅』と自分の持つ『タイムめがねとタイム手袋』をミサイルで破壊した
ジキルハイドを服用した事で冴えていたのび太は
ポケットの道具を壁紙に移す最中、取り出した『タイムホール』が奪われたのを不思議に思い
裏山でこれから起きる出来事をタイムテレビの倍速で確認
逃げる準備をしていたのである