男「急にそんなこと言われても……」
女「とはいえ、私も自分がいかに迷惑な話を持ちかけているかという自覚はあるわ」
男「そ、そうですか」
女「だから、返事は今すぐにとは言わない。 今から……そうね、二週間くらいなら我慢してあげるわ」
男「我慢って……いえ、何も文句はありませんよ?」
女「そう。 だったら、その間に“私”という人を見極めてちょうだい。 返事も、その後で構わないから」
男「え、っと……一応、了解しました」
女「じゃあ、家まで送ってくれないかしら?」
男「…………分かりました。 いろいろと聞きたいことはあるし」
ー送り途中ー
男「そもそも、ここに住んでいなかったのなら、どうして公園があるなんて知っていたんですか?」
女「事前に調べたのよ。 それらしい話をでっち上げるのだったら、少しばかりのリアリティも含ませないとダメだわ」
男「確かに、完璧に信じ込んでいましたけど……」
女「他には、聞きたいことはある?」
男「……学校でも、今日の嘘のことを説明してくれますよね?」
女「学校では、バラすつもりはないわよ」
男「は? え、何で?」
女「そっちの方が都合がいいじゃない。 周りのみんなに応援してもらえるし」
男「……もしかしなくても、女さんは性格悪いんじゃないですか?」
女「そんなこと、とっくに自覚済みよ」
男「なんてこった……あまり関わりたくないようなタイプの人に、捕まってしまったのか」
女「ふふふ……まぁ、若干行動に移すのが早とちりだったかもしれないわね」
男「どうしてですか?」
女「今日の下校に関しては、あなたの家を確認するために、尾行でもすればよかったと思うわ」
男「ストーカーじゃないか!?」
女「あなたの家を確認して、ちゃんと周りに公園があるかどうかも調べるんだったわね。 少し詰めが甘かったわ」
男「……そこまでされると、流石に一生信じていたかもしれないですね」
女「私、完璧主義だから……あら、不満げね?」
男「失敗してるじゃないですか」