うちの高校は、そもそもバイトをやることじたいが禁止されてた。
バレたら停学処分。
だからやるなら、当然隠れてする必要がある。
もっともこのバイトは、親とか学校の許可を必要としなかった。
ありがたい話。
「なるべく長く続くといいね」
帰り際、おっさんは俺に向かってそんなことを言った。
「多いんですか、すぐやめちゃう人」
「まあ、そうだね」
俺の質問におっさんはうなずいた。
「やっぱり、あんまりウソがつけないとか? そんな理由でやめちゃうんですか?」
「まあ、いろいろなパターンがあるけどね。
やめるときはその時計をきちんと事務所までもってきてほしいな」
「了解っす」とだけ言って、俺は事務所をあとにした。
バイトが見つかると、ついつい期限よくなるじゃん?
だから「drive to MY WORLD」を歌いながら自転車をこいで帰った。