ボーちゃん「もし、禍々しい気配を感じたら、近寄ったら駄目だからね」
風間「分からないかもしれないけど、気を付けるよ」
ボーちゃん「じゃあ」クルッ
ひろし「ま、禍々しいって、何だよ!」タタッ
ボーちゃん「あの家で最も精神的に不安定だったのは…おばさんだった」
ひろし「精神的にって…」
ボーちゃん「…死ぬ寸前の感情が影響してるんだと思うけど」
ひろし「死ぬ寸前?あ、俺どうやって死んだんだ?」
ボーちゃん「練炭による、無理心中」
ひろし「!」
ひろし「え…あれは、未遂じゃなかったか?」
ボーちゃん「換気して仲良く帰って…来られなかった」
ひろし「…」
ボーちゃん「睡眠薬を飲んで、そのまま。みんな死んだ」
~~~~~~~~~~
ひろし(はじめ離婚してから、俺だけ死のうと考えた)
ひろし(しかしみさえは頑として首を縦には振らなかった)
ひろし(家族でしょう?一人で抱え込まないでと、主張するみさえとは何度も言い合いになった)
ひろし(それでもみさえは譲らず、結局はみんなで仲良く心中という事になった)
ひろし(でも、これで良いのか?)
ひろし「…」
ひろし(良いんだ…大した人生じゃなかったし)
ひろし「…」
ひろし(酒を飲んで気が大きくなってるんだろうか?)
ひろし(不思議と死ぬのが怖くない…)
みさえ「…あなた?」
ひろし(…みさえ)
みさえ「…」
ひろし(すまなかった…)
ひろし(もう、嫌な目に遭わせないから)
ひろし(次、また会える時があったら…絶対に、お前のピンチを救え……)
ひろし(愛し………)
・
・
・
(…あなた)
ひろし「!」ぱちっ
~~~~~~~~~~
ひろし「ああ…あの時か…あの時に俺は死んでたのか…」
ひろし「あの時は、格好良く助けたつもりだったんだけどな…そうか」
ひろし「車から出られずに、死んだのか」
ボーちゃん「…」