女「ありがとう。ココア暖かいよ。あなたも飲んで」
男「ん」
ずず・・
女「・・・私、プラネタリウムって初めてなの」
男「オレも初めてだ」
女「あ、そうなの」
男「だって、彼女でもいない限り来ないだろ。フツー」
女「そういうものかしら?」
男「そうだよ。なんか案内によると、中はだいぶ暖かいみたいだし、かなりリクライニング出来るシートがあって、貸出しの毛布もあるらしい」
女「ありがとう・・・いろいろ気を使ってくれて」
男「・・・オレが、お前のために気を使う事って、別にお礼を言われることじゃないだろ・・・恋人なんだから//」
女「・・・うん//」
男「・・・さ、このビルの中だ」
女「うん」
女「すごい!このイス、とっても快適そうね。部屋も暖かいし」
男「だろ?じゃあ座ってな。オレ、車椅子預けてくるから。ほら」
すっ
女「うん」
がしっ
とす
女「すごいよ。このイス、ふかふか!」
男「ん・・じゃあ、ちょっと待ってて。車椅子預けついでに、毛布も借りてくる」
女「うん」
男「はい、かけるぞ」
女「もう、赤ちゃんじゃないんだからそれくらい自分でできるわよ!」
男「はは、ゴメン」
女「・・・もうっ」
二人掛けのシートに並んで座り、大きな毛布を二人でかけた。
しばらくの後、部屋が暗くなって、天井には星空が広がった。
アナウンスが、冬の夜空の神話を語る。
だがそんなアナウンスをかき消すくらい強く、お互いの息遣いが聞こえた気がした。
毛布の中で、彼女の右手を探り、オレの左手を外れないように絡ませた。
左を見ると、彼女もオレを見ていた。
鼻と鼻がふれた。
男「・・・ダメ?」
女「・・・・・・・・だめ」
オレは彼女の頬に、再びキスをした。