男「…………」
男(相変わらず、この後輩は俺に勇気をくれる)
男(狙っていようといまいと、その存在自体が、俺にとってのエールとなってくれる)
男「……もしも、女と出会っていなければ」
男(なんて)
男「そんな仮定に、意味は無い、か……」
男『ありがとう、後輩』
男「……………今は、11時半……」
男(日付が変わるまで、あと30分)
男(別に日付が変わればドッペルゲンガーが消えてくれる保証なんてないが)
男(少なくとも、俺が寝てしまいさえすれば、もうそれで俺と”俺”が出会うことはない)
男(……だから、少しでも安心したいのだ。さっきから、恐怖と緊張で全く眠くならない)
男「………11時50分……」
男(あと、十分………)
男(たった600秒が、こんなにも長いとは)
男(はやく、はやく、はやく……)