どくん どくん
男「…………11時55分」
どくん どくん どくん
男「………………11時57分」
どくん どくん どくん どくん
男「…………11時、59分………!!」
どくん どくん どくん どくん どくん どくん
男「………………0時、0分、0秒」
男(日付は、変わった)
男(俺は、生きている)
男「………は、はぁぁぁぁ〜………」
男(抱えていた鞄に顔を埋め、安堵の息を吐き出す)
男(張り詰めていた緊張が解け、途端に眠気が俺を襲う)
男(このままこの睡魔に身を任せさえすれば……俺の完全勝利だ)
男「…………」
男(この1週間)
男(普通の家庭に生まれ、普通の家庭で育ち、普通の高校に入り、普通の青春を謳歌する)
男(普通な俺の、普通じゃない1週間)
男(ようやく、それに終止符が打たれる)
男(もう、体はぴくりとも動かない)
男(意識も、ずんずんと奥深くへ沈んでゆく)
男(正直、疲れた)
男(もう休んでもいいだろう……)
男(……これで、俺の……)
カツーン