俺にとって、彼女といられる日はいつも特別だったけど、
この日はそれ以上に特別だった。
楽しくて、時が止まれと思った。
この日が過ぎたあとも、しばらくは穏やかな日が続いた。
俺たちはいつも病室で一緒にいたけど、いてもいても足りないくらいだった。
普通だったら毎日毎日顔合わせてたら少しは退屈になったりするんだろうけど、俺たちはどんなに話しても笑いが絶えなかった。
どうしてだろう、話しても話しても、もっと一緒にいたい、
そういう想いが募るだけだった。
彼女は病室でぼそっと100sのセブンス・ワンダーを歌って見せたことがあった。
彼女「この病院には七不思議があるんだよ。」
俺「へえ~何それ?」
それは彼女が勝手に考えたヘンテコなものだった。
実に下らない内容で、俺は一緒になって笑った。
俺「7つ目は?」
彼女「わたしが入院してることかなー」
俺はそれを言われて言葉を失った。
彼女「はやく、元気になりたいなー」
それが彼女が珍しく弱音を吐いた瞬間だった。
俺「すぐによくなるよ、必ずね。」
俺だって、すごく不安だったけど、信じるしかなかった。
