私が知ってる限りで、千尋くんが趣味の話をしている女は私しかいなかったから、率直にすごく嫌な予感がしました。
しかもその女の子は、千尋くんと同じ大学の子で、おまけにすごく可愛かったから、本当に嫌な予感がしました。
その子と千尋くんはどんどん仲良くなっていくみたいで。
千尋くんが二人で撮ったプリクラとか、二人で行った動物園とか、
いつか私達が行った水族館とか、
そんな写真をツイッターであげるようになっていきました。
そして、ある日千尋くんは私にLINEでこう言いました。
「僕、好きな人ができたかもしれない。」って
かなりショックだったんだけど意外と取り乱すことはなくて、それからけっこう相談も受けるようになって、親身に答えて、千尋くんもすごくオシャレをするようになって、
かっこよくなって、その女の子が羨ましくて、だけど私はその子になれなくて。
そして千尋くんは伝えてくれました。僕達付き合ったよ。って。
色々ありがとう。って。
そしたら急に千尋くんはもう私のものじゃないんだって実感が湧いてきて、すごく悲しくて、思い返せば本当に自業自得で悪いのは私でしかないんだけど、たまらなく悔しくて、
くだらないクラスでの立場なんかに縛られて自分の気持ちに素直になろうとしなかった自分を悔やんでも悔やみきれなくて。
このとき、もう最後は自分で決めようって、そう思ったの。
付き合ったって聞いた次の日、私は千尋くんと話がしたいって言って呼び出して、
全部話しました。高校二年生のときから今までずっと好きだってこと。
本当は相談相手も嫌だったってこと。付き合いたいってこと。
結果はもちろん完敗でした。
私が最後に「もし、ちゃんと告白してて、ちゃんと付き合ってたら今も付き合ってたかなぁ…」ってボソッと言ったときに、
「それでも僕は多分あの子を好きになって、君とは別れてでも付き合ってたと思うよ」って返されて
あ、もうこれは完全にかなわないなと。本当に大きなものを自分から投げ捨ててしまったんだなと。後悔もしながら、でもほんの少しだけ大人になれた気がしました。