「でもおしりも見えてたでしょ?いいよいいよ、私も見たんだからおあいこでしょ」
僕はドギマギしてしまった。美咲先生ってすごく真面目な人だけど、もしかしてエッチな話も好きなのかな?当時の僕の中では、「教師」と「エッチ」がどうしても結びつかなかったのだ。
僕は怒ったふりをして言った。
「僕、もう帰ります!」
先生はちょっとあわてた様子だった。
「ごめんごめん!からかうつもりはなかったの。修くんは私の水泳の先生だから、礼儀正しくしないとね。ごめんなさい。今日もよろしくお願いします」
美咲先生は真顔で丁寧にお辞儀をした。
「あ、いえ、先生、いいんです」
「ううん、真面目な修くんを困らせちゃったね。でもね、お互い秘密は守ろうね」
「はい!」
僕はなんだかかえって晴れ晴れとした気分になった。少し時間がたってみると、
先生の意外な一面が見えたことも、ちょっと嬉しかった。
美咲先生の「あおり足」の癖は、完全に直っていた。手足のかきのバ ランスが悪かったが、二人で並んで泳いだりして、30分もするとだいぶ上達したようだった。
「ところで先生、クロールは大丈夫なんですか?」
先生の教採試験には、クロールも必須なのだった。
「一応泳げるつもりなんだけど……。見てくれる?」
にごり湯で顔をつけるクロールはちょっとキツイものがあるが、先生はがんばって泳いでくれた。
(クロールは意外に上手だな)