ついでに30分くらいプールで泳ぐのが習慣になっていた。
田舎では、わざわざ暗いプールで泳ごうなんて考える人も少ないのだろう、大抵は広いプールを独り占めできて快感だった。
たまに入っている人がいても、せいぜい1家族か1グループという感じだった。
酔っぱらって露天風呂感覚で入ってくるオヤジもいたが、風呂にしてはぬるすぎるので、早々に内風呂へ戻る人がほとんどだった。
前置が長くなってしまった。そろそろ本題に入ろう。
その日も僕は気分良く泳いでいた。確か夏休み前で、外はまだまだ薄明るかったのを覚えている。
バタンッ!女湯のドアが閉まる音がして、競泳水着にキャップ、ゴーグルの女性が現れた。
(にごり湯(半透明くらい)だから、本格的に泳ぐには向かないんだけどなあ)
なんて思いながら、プールの中央で泳いでいた僕は、男湯側の端に移動して泳ぎ続けた。
その女性は僕と反対側の端で泳ぎ始めた。
ゴーグルなしで温泉に顔をつけるのが嫌だったので、僕はいつも顔を上げたままの平泳ぎだった。
手も足もゆっくり大きめにかく。その日もいつも通り、のんびり泳いでいた。
すると先ほどの女性が、プールの中を僕の方へ歩み寄ってきた。