笑子がブツブツ言いながら離れると今度は友が耳打ちしてきた。
友「お、おい!どうすりゃいい?」
男「何が?」
友「笑子ちゃんと話たいんだけど、どんな話したらいいかわかんない!」
男「何でもいいんじゃないか?」
友「趣味とか、好きな食べ物とか教えてくれよ」
男「知らない」
友「なんだよケチ!」
男「はあー。伝言ゲームじゃないんだから!二人とも俺に耳打ちして話すの禁止!」
それからカラオケ店に着くまで3人とも無言で歩いた。
少し前
女友「あんなに女っちにベッタリだった男君のあの態度はおかしいよ。何かあったんでしょ?」
女「・・・私が悪いのよ」
女友「またそんな!男君が悪いんだね?分かった、ぶん殴ってくる」
袖をめくり、目を血走らせる女友は今にも黒板を蹴破って隣の教室に乗り込みそうな勢いである。
女「まって。話を聞いて。男君は悪くないの。悪いのは私」
女友「え?」
女「嫌いって言ったの。男君に」
女友「はぁ?なんで?嫌いなの?」
女「嫌いな訳ない!・・・そんな訳ない!」
女友「じゃあ何でそんな事を」
女「・・・わかんない!自分でもよくわからないの!」
今にも泣き出しそうな女の顔を見て、女友は肩を竦める。このワガママで可愛い友達がどうしようもなく愛おしい。
女友「はぁ、全く。・・・私はいつだって女っちの味方だよ。例えあんたが悪者でもね」
女「・・・ありがと」
女友「とりあえず、今日はカラオケに行こう!」