男「なに?」
自分でも分かるくらい、言葉にトゲがある。自分が傷付きたくないから、俺は彼女を傷付けようとしている。
女「グラス、忘れてる」
男「・・・」
振り返り、無言でドリンクバーまで行き、グラスにジュースを注ぎおもむろに掴む。
男「・・・」
視線を床に落とし、足早に女さんの横を通り過ぎる。
女「ごめんなさい」
後ろから袖口を女さんに掴まれた。
男「・・・」
女「嫌いとか、友達じゃないなんて言って、貴方を傷付けた。本当にごめんなさい」
男「・・・うん」
俺の袖口を掴む力が少し強くなった。
女「男君が誰かと仲良く話したりしているのを見ていると、胸の奥が締め付けられて。苦しくて、切なくて」
男「・・・」
女「自分をコントロール出来なくて。それで、思ってもない事を口にして」
男「・・・うん」
女「こんな私が嫌いなの。大嫌い」
振り返ると女さんは泣いていた。これで何回目だ?女さんの涙を見るのは。
男「・・・俺の好きな子に嫌いなんて言わないでくれよ」
女「・・・うぅ。」
男「一緒に歌おう。」
女「う、うぐ。」