幼「…そだねっ」
校庭の一角
女「今日のおかずには自信があるんですよ。コロッケ、肉じゃが、かに玉、から揚げ、カレー…私の好きな料理をたくさん作ってみました」
男「…うわー。かに玉美味し…」
幼「男君っ、肉じゃが!この肉じゃがも捨てがたいですぜっ」
男「本当だ…味が肉にもじゃがにも良く染みてて…ていうかお弁当なのに何故湯気が?」
女「人肌であっためておきましたので」
男「ブッ!!」
男「ブッ!!」
幼「ひ、人肌って…?」
女「あの…冗談ですよ?このお弁当箱って二重構造になってるんですけど、内側は熱の伝わりやすい鉄製で、外側は魔法瓶のように熱を逃がさない特殊な素材で出来てるんです」
女「そうする事によって、お昼までくらいだったらほかほかのままお弁当が食べられるんですよ。凄いですよね、はいてく、ってヤツです」
男「へー…すごいな…」
幼「でも、それならどうして昨日はこのお弁当箱にしなかったの?やっぱり暖かい方が美味しいよね?」
女「それは…昨日買ってきたんです。…男君に喜んで貰いたくて」
男「ブフォ!!」
幼「…なるほどっ」
女「…美味しいですか?男君」
男「…!…!」ドンドン
幼「あれっ…!?もしかして男君喉に詰まらせた!?女さん、水!」
女「ごめんなさい!今日は水筒忘れてしまって!カレーならありますけど!?」
幼「カレーは飲み物じゃないよ!?」
女「こ、こうなれば私の唾液を使って…!」
男「ング…ング…」バタバタ
幼「言ってる場合じゃないって!?男君死んじゃう!」
女「そうだっ!昨日マサさんに貰ったテキーラがありましたっ!」
幼「テキーラっ!?」
女「ほら男君、一気に飲んで下さい!」
男「ンブッ!?ゴバボッ!?」
幼「テキーラなんか一気飲みさしたら急性アルコール中毒起こしちゃうんじゃっ!?」
女「そうでしたっ!?…お、男君、ゆっくり、落ち着いて飲んで下さい」
男「…ゴク…ブッ!………ゴク…」
男「……………助かったぁ」
男「……………助かったぁ」
幼「よかった…」
男「…も、もう。女さんが変な事言うからだよ」
女「変な事って…男君さりげなく酷いです」
幼「あはは…まあ、とにかく食べようよ。休み時間が無くなっちゃいますよ」
男「そうだね…。食べよ食べよ」
女「男君はゆっくり食べて下さいね」
男「…はは」
幼「ところで…どうして女さんはテキーラなんか持ってたの?」
女「あ、あれは昨日、ちょっとした知り合いにお土産として貰ったんです。それを鞄から出すのを忘れちゃってまして」
幼「女子高生へのお土産がテキーラって…よくわからないセンスをした人だなあ」
女「面白い人なんですよ」
男「…」パクパク
女「ところで、昨日うちの店に来られたんですよね?」
幼「…えっ?…うん…まあ…」
女「父が、お二人に硝子玉をまた作って欲しいとお願いされた、と言ってました。…でもごめんなさい。父はあの通り、根は優しいのですが仕事の事となると頑固一徹で融通がきかないところがあるんです」
幼「いやっ…はははっ」
女「私からもなんとか作ってくれるようお願いしますが…難しいかと思います」
男「…」モグモグ
幼「そんなっ…別に大丈夫だって」