男「…ごめんて…どういうこと…?」
女「…ごめんなさい男君。実は幼なじみさんの硝子玉、私が割ってしまったんです」
男「えっ!?」
幼「…」
女「父が幼なじみさんに渡したの硝子玉は私まだ見た事が無くて…それでどうしても見たくなってしまったので幼なじみさんに見せてもらってたところ、見てる途中手を滑らせて割ってしまったのです…」
男「それ…本当…?」
幼「…」
女「ごめんなさい…それで今日はお詫びに硝子針を持ってきたんです。虹を見る事だったらいつでも出来ますよ、って」
男「…そうなんだ…」
幼「ごめんなさい…男君…」
女「私も本当にごめんなさい…」
男「…そ、そんなに気を落とさないでよ二人共!女さんもわざとじゃなかったんでしょ?それならしょうがないよ。幼なじみもさ…元気出して…」
幼「……………ごめんね」
下校
幼「…」
男「…」
幼「…」
男「…あのさっ」
幼「うぇっ!?」
男「…あのさ、本当にあんまり気にしないでよ。硝子細工店の店長が言ってた事を気に病んでるのかもしれないけど、あれは所詮願掛けだからさ…俺は、いつまでも変わらず幼なじみとは仲良くしていきたいし」
幼「男君…」
男「あの綺麗な虹だって、女さんの硝子針を借りればいつだって見れるしさ」
幼「…そう、だ、ね」
男「それにほら!店長良い人そうだったから、頼めばまた作ってくれるかもしれないし!」
幼「でも…それは…」
男「うん、そうしよう!今度また一緒にあの店行こうよ!」
幼「…うん」
硝子細工の店
店長「…それは出来ない」
幼「…っ」
男「なっ…どうしてですか…?」
店長「…私は職人だ…技師ではない。…私が作るのは、製品ではなく…作品。そして全ての作品には…それぞれ固有の意味が篭っている。…本来ならばつがいの作品を作る事でさえ珍しいんだ…」
男「どうして…だめでしょうか」
店長「…申し訳ないが。…それに…それではなんの意味もないという事は…君のお連れさんが一番わかっているんじゃないか…」
幼「…」
店長「壊れてしまったのなら…壊れてしまった事で…何か役割を果たしたはずだ…。なのに…また同じ物を作り直せというのは…なんというか…横暴だろう」
男「…わかりました」
店長「…力になれず…すまないね」
休み時間
女「お二人とも。私今日もお弁当作ってきたんですよ。一緒にいかがですか?」
男「本当?それじゃあご馳走になろうか」