幼「いいでしょー。今日から半年くらいは私の方がおねーさんなんですから」
男「…誕生日、おめでとう」
幼「言うのが遅いっ!出来れば今日出会ってすぐに言って欲しかった!」
男「あ…ごめん」
幼「去年なんか結局最後まで言ってくれなかったし!私はいつまでもしつこく覚えてますよう?」
男「…本当ごめん」
幼「うそうそ。いいってー。こうして一日一緒に遊んでくれるだけですごくうれしいですから」
男「…」
男「…」
幼「…」
男「あの、さ」
幼「うん?なんでしょう?」
男「帰る前にさ…一箇所だけ行きたいところがあるんだ」
幼「え?どこどこ?」
男「着いてからのお楽しみって事で」
幼「おっ。男君がクサイ台詞で私を誘ってきました。これは期待しても良いのでしょうか。」
男「う、うるさいなあ」
小さな店
幼「…へぇ~っ、硝子細工のお店かぁ…」
男「なかなか良い店だよね」
幼「男君の意外におしゃれさんな一面なのでした。次は女さんを連れてってあげて下さい」
男「……うん」
幼「それで、何か買うの?」
男「…うん、これ」カチャカチャ
幼「色付き硝子…の玉…?」
幼「赤い…色付き硝子の…玉…?」
男「…本当は普通の透明な硝子らしいんだけど…これは不思議な硝子細工でさ、俺も仕組みは良く知らないんだけど、なんでも屈折率の違う硝子を何層にも重ねてるらしいんだ」
男「そうする事によって、この玉の中に入ってゆく光は何度も屈折や反射を繰り返して…やがて単色光になり、こうして色が付いてるように見える…という事らしいんだ」
幼「へー…すごいね…」
男「だから、こうやって光源に近づけてやると…」
幼「わっ…光った…」
男「綺麗だよね…この光は何時間見てても飽きないんだ」
幼「わかる気がする…」
男「綺麗だよね…この光は何時間見てても飽きないんだ」
幼「わかる気がする…」
男「じー…」
幼「じー…」
店長「…」
男「じー…」
幼「じー…」
店長「…」
店長「…いらっしゃい」
男、幼「ッ!?」ビクッ
店長「…気に入ったのかい?それ」
男「あ、あ、はい!えと、あ、あの、あっ…大事な作品に手垢なんかつけてごめんなさい!」
幼「ごっ、ごめんなさい!」
店長「…かまわないよ」
店長「…かまわないよ」