そんな俺の荒れた状況を聞きつけて、ケンジという俺の大学時代からの親友が
俺のところに来てくれてね。
俺の行きそうな所に網を張って捕まえてくれたんだ。
ケンジはユカリさんのこともカオリさんのことも知っている友達で、
仲間や俺の妹から話を聞いてカミサンや子供、仕事もほっぽり出して埼玉から駆けつけてくれた。
ケンジは「お前、あんな走りを彼女に見せられるか?
後ろに彼女乗せてあんな走り方できるのか?」
と言って、俺の行動を諌めてくれてね。
更に「ここで聞いたことは全部俺の胸の中に仕舞って置く。全部吐いちまえよ・・・」
と言って俺の話を全て聞いてくれた。
話を聞いてくれた上で、一緒に涙を流しながら
「なあ、次郎。彼女はお前のどんな所が好きだったのかな?
少なくとも、今の自棄になったお前に惚れる事はなかったんじゃないの?
彼女の好きだったお前でいてやれよ」とか、
「別れる前のお前が彼女の為にどんな男になろうとしてたかは判らないけど、
彼女はお前の中で生きていてお前の事を見ていると思うんだ。
彼女をがっかりさせないように頑張ってやらないと。
死んだ彼女の思いに応えてやれるのはお前だけなんだからさ」
といって俺を叱咤してくれた。
ちゃんとした家庭を築いて、子供まで育てているヤツの行動と言葉は重かったよ。