【家出】
町外れのコンビニで少年誌を手に取る。
読むでもなく読まないでもなく、何となくページをめくってみる。
そしてすぐ、ラックに戻す。
混乱した頭では何を読んでも理解できない。
そうでなくとも、中学生になった辺りからいよいよ本格的に勉強にのめり込み始め、それと同時にマンガに対しての興味も薄れ出した。
さっきの少年誌の中にも、知っているマンガはあまりなかった。
ここでもまた、弾かれてしまった。
何であんな事したんだろ。
激しい後悔。
さっきの映像が何度も脳裏をよぎる。
壁にこびりついた生クリーム。
砕けた皿の上に横たわる、潰れたスポンジ。
そして、呆然と僕を見詰める母さん。
決して母さんに腹を立てたワケじゃない。
ただ、優しい言葉をかけて欲しくなかった。
心の底では優しい言葉を渇望していたけど、実際にそれを与えられたら終わりだという強迫観念があった。
結果だけで判断しない優しい両親。
それに甘えてはいけないと思って、何とか結果を出そうとした。
でも、それも叶わず、ついには『シャングリラ』のケーキまで出して慰められる始末。
これじゃ甘えてるのと変わらない。
しかも、その慰められてる事柄は、よりによって僕が幼少時代から最も自信を持っていた勉強だ。
情けない。
情けなくて申し訳なくて悲しくて、そしてその苛立ちを母さんにぶつけてしまった。
輪をかけて情けない。