成績も上位を常にキープし続けている、運動だって頑張ってる。
学級役員もやって、2年になってからは生徒会役員にもなった。
けれど何だあのクズどもは。
授業中なのにろくに話も聞かずに居るくせに一人前に権利を主張してくる。
人の迷惑を好き好んで行うこともあった。
自分の主張や主観を強引に押し付けるやつさえいる。
そんなやつらの存在にも耐えられた。
だがなぜ僕は今朝あんなことをしたのか、自分でも分からない。
――学校の奴らが気に食わないから。
違う。
――勉強したくないから。
違う。
――家族に反抗したかったから。
違う。
――じゃあ何が不満なの?
……分からない。
けど1つだけ、今朝ママに言われて分かった。
結局はみんな同じなんだ。
何も、考えたくない。
何も、したくない。
僕が困ったときはいつもドラえもんが助けてくれた。
でも今はそのドラえもんにさえも頼る気にならない。
なぜか光に嫌悪感を覚えた。
おもむろに立ち上がった僕はカーテンを閉める。
でもまだ明るい。
そうだ、押入れなら暗いはずだ。
スペアポケットもある。
別にドラえもんに迷惑とは思わない。
……しばらく、そこに居よう。
僕はその日、押入れから出なかった。
先生「野比は今日病欠だそうだ」
しずか「あら珍しいわねのび太さんが休むなんて」
ジャイアン「まぁそんなこともあるだろう。それよりスネ夫、宿題見せてくんねぇか?」
スネ夫「またぁ? 仕方ないなもう」
ジャイアン「ありがとよっ」
しずか「ねぇ心配だし、私たちでお見舞いに行かない?」
スネ夫「別に一日くらい休むこともあるでしょ。明日には学校にくるよ」
しずか「そう……かしら」
ジャイアン「そうだよしずかちゃん、明日にはいつもの間抜け面した顔が拝めるってもんだ」
スネ夫「間抜け面っていっても今じゃ学年首席みたいなものだけどね」
しずか「ふふっ、そうよね。明日には元気に登校して来るわよね。明日には」
その日を境に、のび太さんは学校に来なくなった。
あれからどれ程の時が流れただろうか。
最初にスペアポケットを手に入れたのは幸運だった。
始めに使えそうな道具を取り出せるだけ取り出しておいたのだ。
出せるだけ出したらポケット自体は捨てた。
ポケットを通じてドラえもんがこちらに来ることを危惧してのことだった。
道具のおかげで現在の押入れは厳重なセキュリティを施され、ネット環境も完備している。