【※やり直し※】10年前に戻って人生をやり直すことに・・・僕は10年分の巻き戻しを、まったく無意味にしてみた。

妹は僕の言葉に甘えることにしたらしく、
三日後、再び僕の部屋を訪れた。

家にいるときに妹がすることと言えば、
一方的に僕の悪口を並べ立てた後、
「おにいちゃんは駄目だねー」と言うことだった。

そして僕の夕飯をおいしそうに食べ、
僕のベッドを占領してすやすや寝た。

翌日、父親が迎えに来て、妹を連れて帰った。
この分だと、またすぐに戻ってくるだろう。
何が彼女をここまでさせるんだろうか?

ところで、二周目の僕が、擁護しようがないくらい
明らかに一周目の僕より劣っているとは言え、
部分的には、優れているところもあったんだ。
第一、そうでなきゃ、やってらんないよね。

二周目の僕は、一周目の僕と比べると、
百倍くらい本を読む人間だったんだ。
それはもちろん、孤独を紛らすために、
図書室に通ったことが起因してるんだけどさ。

そして、これから話す出来事において、
その趣味がそこそこ役に立ったんだよ。

かつての僕は、恋人のことを、完全に分かった気でいたな。
五年間、ずっと一緒にいて、実に色んなことを話したからね。
ところがさ、案外、僕の知らない面も存在したみたいなんだよ。

その日も僕は、妹に踏まれて目を覚ましたんだ。
「図書館に本返すから」と妹は言った。「市民の義務だから」
まあ、午後四時にぐっすり寝てる僕も悪いんだけどさ。

図書館につくと、妹は本の束を抱えて歩いて行った。
辺りは早くも薄暗くなってて、街灯が点きはじめてたね。

僕は駐車場のすみっこ行って、煙草に火を点けた。
そこは物置みたいになってて、色んなものが散乱してたな。
錆びた自転車とか、ポールとか、柵とか、そういうもの。
ガラクタの中で、室外機だけが辛うじて息をしていた。

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