何気なく駐車場の様子を眺めていると、
見覚えのある青い軽自動車が入ってくるのが見えた。
それは僕がストーカー時代によく目にした車なんだ。
つまり、代役二人が乗っている車というわけさ。
結構めずらしい車種だったから、すぐに分かった。
そういえば、二十歳のクリスマスの夜、
僕たちはにここを訪れたんだっけ。
休憩が終わってさ、再び抽選会場に戻って、
まあこのあと起こることは予想できると思うけど、
四人は、そこで初めて一堂に会することになるんだ。
いつも以上に幸せそうなその二人は、まさかその幸せが、
目の前にいる二人の冴えないサンタクロースによる
クリスマスプレゼントだったとは、思いもしなかっただろうな。
本物の元恋人の方を見ると、やっぱり、
僕の代役の方を見て、辛そうな目をしてたな。
多分僕も、そういう目をしていたんだと思うよ。
代役の二人たちが行ってしまってから、僕はしばらく、
彼らがこれからどう過ごすのかを思い出していた。
隣にいる元恋人も、同じことを思い出していたんじゃないかな。
こんなに気分の悪いことって、そうそうないよ。
抽選会場の傍には家電コーナーがあって、
僕は気を逸らすために、そこに置いてある
大型テレビの映像を眺めることにした。
なんてことはないニュース映像が流れていて、
たまに駅前のイルミネーションが映されたりして、
――そして僕は突然、さっきの二人が、
これから死ぬ運命にあるってことに気付いたんだ。
人間の運ってものは、長い目で見れば、
釣り合いの取れてるものなのかもしれないな。
その考え方は、大抵は運のない人間が
自分を慰めるために使う言葉なんだけど、
この時ばかりは、そう思わずにはいられなかったよ。