二人はのび太の家へと向かった。
ジャイアン「でよぉ~!母ちゃんがよぉ~!ジャイ子ばっかり可愛がりやがってよ~!!」
のび太「ちょ、ちょっとジャイアン、人が見てるからもっと小さな声で……」
ジャイアン「たしかにジャイ子は可愛いけどよ、俺だって店の手伝いばっかりじゃなくってやりたいことだって……」
のび太「わかった!わかったから静かに……」
ジャイアン「本当だよ!しずちゃんもスネ夫もこねぇしよぉぉぉ!!!」ドン
のび太「ほら、人とぶつかったじゃないか!どうもすみません。ジャイアンも謝って……」
???「のび太……さん?」
のび太「えっ?」
???「のび太さん、よね?」
のび太は目の前の茶髪の垢抜けた少女が誰だか一目ではわからなかった。
のび太「しずちゃん……なの?」
「ちょっとぉ~しずかぁ~?どうしたん?」
しずか「なんでもない!今行くから!じゃ、のび太さん、またね」タッ
のび太「あっ……」
ジャイアン「ずいぶん変わったな、しずちゃん。昔はもっとこう……」
のび太「僕たちがどうこう言える話じゃないさ。でも……」
ジャイアン「……」
のび太「シラフだったんだね」
ジャイアン「このジャイアン、喧嘩だけじゃなく酒にも強いんだぜ!うげぇ気持ち悪い……」ビシッ
のび太「……どっちなの?」
家に着き、ジャイアンと別れたのび太は、徹夜明けで回らない頭でいろいろと考えていた。
DQNとつるむようになってから表向きには明るいが覇気が感じられないスネ夫のこと、
なんだか別の人のようになってしまったけどさっき喋ったときには確かに懐かしさを感じたしずちゃんのこと、
真剣に考えてはいたが、やはりそこはのび太のようで、徹夜明けの疲労に自室の静けさが相まって、眠ってしまった。
…………
……
ソーラヲジユウニトービターイナー♪
のび太「ううん……うるさいなぁ誰だよ…
携帯の着信音で目を覚ましたのび太は、携帯を手繰り寄せた。携帯の時計は午前2時を示していた。
画面には「源しずか」の四文字。
のび太「えぇっ!?しずちゃん!?」ガバッ
一瞬で眠気が吹っ飛んだのび太は慌ててメールを開く。
『今から空地に来れない?』
聞きたいこともたくさんあったのび太は、すぐに家を飛び出した。
のび太「待たせてごめん!」