しずか「ううん、何年も会ってないのにこんな時間に急に呼び出したりしてごめんなさい。」
のび太「そんなの気にすることないよ。何年たっても僕らは友達じゃないか。」
しずか「えぇ、ありがとう。」グスッ
のび太「わっ、しずちゃんどうしたの!?どこか痛いの?」
暗闇で顔は見えないが、たしかに泣いているしずちゃんにのび太は困惑するばかりだった。
しずか「ふふっ、変わってないのねのび太さんは。」
のび太「……何かあったの?」
しずか「今日の朝、偶然会ったじゃない?」
のび太「うん……」
しずか「あの時一緒にいた友達と、本当に友達だったのかわからないけど、あれから喧嘩になっちゃってね」
しずか「原因はたまたまトイレに立った他の子の悪口言い出したから『そういうのは好きじゃない』って言ったら『いい子ぶるな』みたいに言われて……」
しずか「私、昔からのび太さんやたけしさんやスネ夫さんたちと一緒にいたこともあってか、もともとちょっと浮いてるところあったんだけどね。」
のび太「でも、僕はしずちゃんのしたことは正しいと思うよ?」
しずか「……」
のび太「自分が浮きたくないからって言いたくもない陰口を一緒になって言うのなんて友達でもなんでもないじゃないか。」
しずか「……っ」
のび太「僕はそんな友達だったらいらn」
しずか「じゃあどうしろっていうのよ!?」
のび太「」ビクゥ
しずか「私だってあんな状態嫌よ!でも、それじゃ私は一人ぼっちよ。誰もが誰かと喋ってる教室で私だけ一人。
みんなに後ろ指差されながらそれに気づかないふりしてなんでもないような顔してなきゃいけないのよ?」
のび太「ぼっ、僕だったら、そっちを選ぶよ!自分が嫌だと思うことしなきゃ友達じゃない人たちと無理につるむくらいなら一人の方が何倍もマシさ!!」
しずか「そんなの自分が一人ぼっちなことの言い訳じゃない!!」
のび太「っ!?」
しずか「友達を作る努力さえ諦めたあなたに言っても無駄だったわ。もう連絡しないから。またね。」
のび太「そんなの努力じゃ……」
言いかけたが、最後まで言い切る前に口をつぐんだ。
すれ違う時に見たしずちゃんの顔が驚くほど疲れて見えたからだ。
しずか「さよなら」ダッ
背後から声を聞いてから、のび太は先ほどまでしずちゃんがいた空間に向かってつぶやいた。