あ、メール
タイトル:ごめんなさい
本文:もともと一緒に食べるつもりで頼んだのですが、その意図を正確に伝えなかった私に非があります。ごめんなさい。
残りのパピコは冷蔵庫に入れてありますので、好きな時に食べて下さい。
このギャップをどう受け入れていけば良いのだろう俺は。
部屋でくつろいでいると、姉ちゃんからメールがきた。
タイトル:相談があります。
本文:夕飯にどういったものを食べたいですか?なるべく希望に沿ったものを作りたいと思っています。
今日から両親が旅行でいないため、料理は自分達でなんとかしないことをその時思い出した。
料理を作ってくれるならありがたい。
そうだな…親父が嫌いで、ふだん食えないものがいいな。
タイトル:酢豚!
本文:滅多に食べる機会がない酢豚が食べたいです。
メールを送ってすぐ、冷蔵庫を乱暴に開け閉めする音、そして大きな舌打ちが聞こえた。
ドンドンドンドン!
ガチャ
バターン!!
そして不機嫌な足音を響かせ姉ちゃんが何処かに行ってしまった。
え…夕飯は…?
何か気分を害した文面だったかと携帯を見返していると、着信が。姉ちゃんだ。
弟「も、もしもし…」
姉「パイナップル」
弟「は?」
姉「…ちっ…」
弟「パイナップル?」
姉「入れる?」
弟「え?もしかして、酢豚の?」
姉「入れるのかって聞いてんの」
弟「入ってたら嬉しいけど、まさかそのた」
プツリ
ツーツーツーツー
冷蔵庫を確認したらパイナップルどころか豚肉や人参も無かった。
材料無いならそういえばいいのに…
メールで謝っておこう。
タイトル:ありがとう
本文:わざわざ買い物してまで作ってくれるなんて嬉しい!でもごめんなさいめんどくさい料理頼んでしまって。
これで一応フォローになるだろう。
帰ってきて顔合わせてからがまた怖いけど…
5分もたたずに返信がきた。移動中だろうにこの返信の早さはなんだろう。
タイトル:腕を振るいます
本文:折角の機会、弟に喜んで欲しいので頑張りたいのです。お腹を空かせてるだろうに、待たせてしまって申し訳ないですが、楽しみにしていてくれると嬉しいです。
あー俺、普段からこの姉ちゃんが欲しい…
姉ちゃんが帰ってこない…。
床を踏み鳴らし玄関を出てから既に1時間だ。
一番近いスーパーでか芋のしたとしても往復30分かからないはず。
流石に心配になってきたので、電話をしてみようと携帯を手にとった瞬間、メールの着信があった。