男「以前と比べて歩留まりは5%落ちていますよね?」
先輩女「だね。えーっと……交換すると前よりも歩留まりは上がるって説明があったから、今より最低8%改善ってとこかしらね。
生産量が……で、えーっと……処理時間短縮も加味して、遅くても七年ってとこかなぁ?」
後輩女「その歩留まりもミキサーを使っていけば徐々に落ちていきますよね? 減衰率……というんですか? それも込みで
七年で良いですか?」
先輩女「うん、その考えでオッケー。減衰率なんてよく知ってるね? 生管とか拠点が使う言葉だけど」
後輩女「男先輩に教えて頂きました。ラインの経験は無いですが、仕組みと流れは大体把握しています」
先輩女「男くん、しっかり調教したんだね?」
後輩女(調教……)テレテレ
男「彼女が育っているということです。どこに行っても通用しますよ?」
先輩女「そうなんだ? ……ね、あたしとトレードしない?」
男「それはむ――」
後輩女「無理です」
男「無理……って言いたかったんじゃなくて、難しいです。女先輩の後釜がいない現状では」
先輩女「だいじょぶだいじょぶ。後輩女ちゃんが来てくれれば、生管の男連中は皆やる気になるから」
後輩女「………………」
先輩女「後輩女ちゃんね、生管だけじゃなくて拠点の人にも人気なのよ? 知らなかった?」
後輩女「いえ、興味ありません」
先輩女「そりゃそうよねぇ……だって」チラッ
男「………………」
先輩女「夢中だもんね?」コソッ
後輩女「……わたしは仕事に夢中です。それ以外は考えていません」
先輩女「ふーん、そっかそっかー。じゃ、良いのね?」
後輩女「何のことかわかりませんが、良いのではないですか?」
先輩女「念の為もいっかい確認するけど、良いのね?」
後輩女「はぁ、良いですよ」
先輩女「じゃあ後輩女ちゃん、今からあたしの邪魔しちゃ駄目よ?」
後輩女「……えぇ」
先輩女「じゃ、男くん、結婚しようよ」
後輩女「……はぁ!?」
男「………………」
後輩女「いきなり何を言っているんですか!? 男先輩も絶句してます!」
先輩女「嬉しくてでしょ? 答えなくてもわかってるって。男くんのことはあたしが一番わかってるんだから」
後輩女「そ、そ、そ、そんなわけ無いです! 同じ部署で一緒に仕事もしていないのに!」
先輩女「付き合い自体は男くんが相模原にいた時からだから、もう丸五年だし。そろそろ結婚してもおかしくないでしょ?」
後輩女「意味わかりません! どんな思考回路でそんな答に辿り着くんですか!?」
先輩女「後輩女ちゃん、邪魔しちゃ駄目って言ったじゃない?」
後輩女「邪魔……邪魔? 邪魔じゃまいです!」
先輩女「邪魔じゃまい……」プークスクス
後輩女「か、からかわないでくださいっ!」
先輩女「で、男くん、いつ式にする? 明日? それとも六月?」