12月
クリスマスの月だ。去年まではケーキを一人分買っていたが、今年はそんな気がおきなかった。
いつものように、アパートの階段を登る。
後ろに幼馴染はいた。白い紙袋を抱えていた。
クリスマスは一人でするつもりらしい。
いいだろう。妙に対抗心が生まれた。24日にケーキ屋に走ることを決意した。
:
24日
買ってやった。デカいデコレーションケーキを。
ガキだなぁ…俺。
あいつの家に明かりはともっていなかった。しかし泣き声は聞こえた。
何かしてやらねばならない。訳のわからない使命感が生まれ、ノックもせず、インターホンも押さず、鍵がかかっていないドアを開けた。
そこに幼馴染がいた
:
男「メリークリスマス」
幼馴染「…」
目が真っ赤だった。
幼馴染「…出ていって…!」
男「やだよ」
幼馴染「警察…呼ぶよ…」
男「あぁそうしてくれ。クリスマスパーティは賑やかな方が楽しい」
幼馴染「…なんで…!?」
男「何が?」
幼馴染「私はアンタがキライなの!なんでそんなにしつこく…出てってよ…」
男「なんでしつこくお前に干渉するかって?」
男「お前が好きだからだ」
今…とんでもないこと言ったな…俺。
でもまぎれのない本心だった。