10/11/16
俺はその日も残業だった。疲れた体を引きずり帰路に着く。
地下鉄のホームのベンチに鞄とともに崩れるように座る俺。
終電の案内がホームに流れる。ふと見渡すと、ホームには俺一人。
そりゃあ連休中日に深夜まで働いてるやつなんかそうそういるもんじゃない。
フッと自嘲の笑いも漏れるというもんだ。
が、そのとき、ホームへのエスカレーターを小さな子供が駆け下りてきた。
えっ?とよく見るとそのすぐ後ろから母親らしき人が下りてきた。
『○○ちゃん、ダメ!母さんと手をつなぐのよ!』
3才ぐらいか。まだ少ない髪を頭の天辺でリボンみたいなので結っている。