男「俺はいいよ」
少女「いいから!」
男「……まあ、そう言うなら」
少女「んっ。んっ」 ゴシッ ゴシッ
男「お、力入ってるな」
少女「なれてる、から」 ゴシッ ゴシッ
男「じいちゃんばあちゃんとは、よく来てたのか?」
少女「つきに、1かいくらい」 ゴシッ ゴシッ
男「そっか。うちは全然だなぁ。友達と来た方が多いくらいだ」
少女「……」 ゴシッ ゴシッ
男「昔より今の方が、そういう家族の触れ合いみたいなの、薄いのかもな」
男(ていうか、母さんが嫌がるんだよな。……少女ちゃんと一緒に来てたの、思い出すのかなぁ)
少女「……」 ギュッ
男「な、何? どうしたの?」
少女「なんでも、ない」
男「でも、その」
少女「すこしだけ。すこしだけ、こうしてたいの。すこしだけだから」
男「……」
少女「もう、おとうさん、いないんだよね」
男「うん」
少女「そっか……」 ギュゥゥッ