男「大丈夫? 一人で歩ける?」
少女「へいき」
男「辛くなったら言いなよ?」
少女「しんぱいしすぎだよ」
男「そう?」
少女「わたし、おばさんなんだから。ほんとは、わたしがしんぱいするんだよ?」
男「それを言われると困るけど、俺だって年上なんだしさ」
少女「男はたよりないし」
男「うわぁ、傷付くな、それ」
少女「じょうだんだよ」
少女「すずしい」
男「もうすっかり夜か」
少女「うん。……よるはおなじだね」
男「星も同じかな。30年で変わるものより、変わらないものの方が多いかもしれないね」
少女「うん。でも、やっぱりかえりたいな……」
男「ごめん」
少女「ううん! 男がいなかったら、わたし、いまもないてたもん!」
男「なら、役に立てたかな」
少女「じまんのおいっこだよ、男は。ほら、かえろ?」
男「はい。伯母さんがそう仰るなら、我が家に帰るとしましょう。どうぞ、車にお乗りください」 ガチャッ
少女「くるしゅうないぞ」 ポフッ