のび太「…!」
少年「右腕を消したッ!次一歩でも近づいたらもう片方の腕も消すッ!」
のび太「僕は…ここの学校の『生徒全員』が助かる方法を考えていたんだ」
少年「…?」
のび太「初めてみんなの為にどうやって道具を使うか考えていたんだ…!」
のび太「だけど君達は…その選択肢を奪ってしまった…!」
のび太「許さないぞ…絶対に許さないぞ…!」
のび太「道具を自分の為だけに道具を使ったら…!」
のび太「どれだけ恐ろしい事になるか教えてやる…!」
少年「今動いたなッ!オメーの左腕を消したッ!僕もうしらねーッ!」
少年「…あれ?」
少年は何度もスケッチブックを覗き込む
確かに『そっくりクレヨン』で腕を無くした胴体を描いたはずである
少年「なのになんでオメーの左腕は消えてねーんだよぉぉぉ!!」
のび太「よそ見してていいのかい?」
少年「ゲェェ!右腕も何ともねぇーーーッ!」
のび太「………」
少年「…待てよ…?そうか!道具だな!?何か『元に戻す』道具!」
のび太「うっ…!」
のび太の胸にバックリと大きな切り傷が開く
少年「僕は『芸術家』になりたいんだッ!今のあんたの傷みたいに永遠に刻まれるようなッ!」
少年「さぁーその傷を治してみろよッ!そんなこと出来たら奇跡ッ!芸術的瞬間だッ!」
のび太は手に持ってあった棒を胸に当てる…
少年「おおお…!」
棒を胸から足、足から地面、地面から少年へとずらして行く
少年「…へ?」
少年「ゴガァッ!?」
少年は驚きのあまり後ろに倒れるも起き上がる事が出来ない
それもそのはず…
腕も、足も、そして胸の傷も
全て自分の描いた絵の通りになってしまったのだ
少年「僕のッ!?僕の体が絵の形にッ!?」
のび太「これは『ずらしんぼ』って言ってね、道具の効果だろうと何でもずらしてしまうのさ。」
少年「痛ぇッ!痛ぇよぉぉぉぉッ!!!傷はあるのに血が出ないッ!!」
のび太「87人も犠牲者が出たんだ!当然の報いだろう!」
のび太は少年から奪ったそっくりクレヨンを圧し折り
『大佐』の5つの道具を破壊した
少年「今『ベキッ』って!まさかクレヨンも壊したの!?元に戻れないじゃん!」
のび太「良かったじゃない…!君自身が『芸術作品』になれたんだ…!」
少年「そんなぁ~!大佐ーーー!隠れてないで助けて下さいよーーーッ!」
のび太「大佐はもうここにはいないよ。君を当て馬に…」
当て馬にして逃げる…
戦闘結果も確かめずに…?
そもそもどうやってこの迷宮と化した学校から…?
再び身構えるのび太…『大佐』は近くに潜んでいる…!
『ハッハッハッハッハ…ボスからは情けない男と聞いていたんだがね』
『全く大した激情家じゃあないか、せっかくの『尻尾』が台無しになりそうだ』
のび太〈この部屋の中にいたのか!?〉
のび太「そこだッ!!」
スーパー手袋装着済の拳でロッカーを勢いよく殴りつける
中にいようが、常人なら即死級の威力である
しかし…!
のび太「か…硬い!!こいつ…!何か道具を…!」
男「まさかロッカーを殴り飛ばすとは…恐ろしい威力だ…」
へし折れたロッカーの裂け目を破り、大佐が姿を現した…!
のび太「ぐ…拳が…木もひっこ抜くほどの怪力を得る手袋なのに…!」
大佐「無駄な事だ、今の君じゃあ決して私を傷つける事は出来ない」
のび太「ぬかせ!」
大佐「例えば、私がこうやって姿を暗ませると…!」
のび太「!?」
目の前にいた大佐が急に姿を消した
のび太〈透明マント…?いや、裏山の時点で処分した筈だ!これは別の道具!〉
のび太は『警察犬つけ鼻』を付けて大佐のにおいを探った…
のび太「……逃がさないッ!」
背後のドアの方向を勢いよく殴りつけるのび太
拳はドアごと透明になった大佐を廊下に吹っ飛ばした