「大丈夫、今回はイケるって女子にこころあたりがある」
「いやいやいやっ! 絶対にいやだ!」
先輩は頭がいいだけじゃなく、そこそこのイケメンなんだよ。
背も高いし、なぜか俺のクラスでも知ってるヤツがかなりいる。
当然モテる。
そういう人種にはモテない人間の気持ちがわからないんだよな。
そのことを言うと先輩は、俺の両肩に手を置いた。
「だいじょうぶ。今回はB線の女だから」
十分ぐらい先輩の教室の前で、言い争ってたのかな。
急に先輩が黙ったんだよ。
で、遠くを指さした。
「うわさをしたら……ほれほれ、あの子だって」
先輩じゃなかったら、バカヤローって頭殴ってたわ。
ちょっと遠くを歩いてたのは、ひとりの女子生徒だった。
俺はその人を知っていた。
ていうか、ほとんどの人は知ってるんじゃないかな。
たぶん、教師陣を除けば一番学校で有名な人。
生徒会長だった。