ちょっとここで、うちの高校について説明しておく。
もともと女子高だったうちの高校は、十年前ぐらいから共学になった。
男女比はだいたい4:6ぐらい。
女子校時代の名残なのか、うちの学校は女子のほうがつよい。
けっこう特殊な学校で、生徒の学力はまさにピンキリ。
滑り止めで入学する人間もいれば、高い志をもって入学する人間もいる。
俺はもちろん前者。
俺がキリなら、その会長さんは間違いなくピン。
生徒会長とか絶対に勉強しまくったりしてるだろ。
普段から、なあなあに過ごしてる人間からすると、
そういうまじめそうなヤツというのは、非常に苦手なのだ。
会長は俺たちのとこにたどり着く前に、教室に入っていった。
「どうよ?」
「ぜったい相手にされないですよ!」
「いいじゃん、相手にされなくても」
先輩の言うことは、ごもっともだった。
ようは俺は、あの会長さんに告白して玉砕すればいいだけなのだ。
しかし、さすがに釣り合わなさすぎる。
「ていうか先輩は、あの人と知り合いなんですか?」
先輩はブンブン首をふった。「しゃべったことない」