女姉「こんにちは」
女兄「ひさしぶり」
男「あ、どうも」
リビングには、彼女の兄と姉も居た。
今日はどうやら父親以外勢揃いのようだ。
なんかちょっと緊張するな、と思った。
男「お久しぶりです。えっと・・女さんは部屋ですか?」
女姉「・・・」
女兄「・・うん、そうだよ」
男「あ、えっと」
女兄「行っておいで」
男「あ、ハイ」
オレは、彼女のきょうだいと母親に軽く会釈をし、彼女の部屋のドアに手をかけた。
隙間から、彼女の懐かしいにおいがした。
部屋に入って一歩進んだ。
なつかしい笑顔だった。
すっと会いたいと思っていた笑顔だった。
彼女は写真の中で笑っていた。
意味が分からない。
部屋を見渡した。
彼女がいつも使っていたベッドがある。
本棚には、学校の教科書と資格の勉強のための参考書。
マンガも少しあった。
勉強机を見る。
綺麗に整頓されていて、彼女の性格が表れているようだった。
彼女がその部屋で、すっと使っていたであろうその机の上には、手紙が置いてあった。
長方形の白い封筒の上には“男君へ”と書いてあった。
封筒は封がしてあった。
オレ宛の手紙だ。
封を開けた。
中には真っ白い便箋に、黒いボールペンで書かれた手紙が入っていた。