男君へ
最初に、一番重要な事を言います。
おめでとう。
あなたなら、必ず合格すると思っていました。
あなたが志望校を変えると言った時、正直無謀だと思いました。
でもあなたが本気を出せば、合格するだろうと思います。
あなたは怠け癖があるけど、本当はとても頭のいい人です。
だからこれからはちゃんと、本気を出して物事に臨んでください。
それと、あなたには、いくつも謝らなければいけません。
私は、生まれつき筋肉が弱い病気を持っています。
今までは病気の進行が遅く、歩くこともできました。
ですが高校3年生の秋頃からだんだん進行が早くなってきました。
あなたに言わなければいけないのに、ずっと言えませんでした。
本当にごめんなさい。
あなたが優しくて、あなたに甘えていました。
あなたが、ずっと諦めていた時間をくれたから、その時間に終わりがあることをどこかで信じたくなかったのかもしれません。
水族館に行った日、ちゃんと断れなかった、私の弱さです。
たぶん、あなたはこの後もたくさんメールをしてくれると思います。
ですが、これから先のメールはお母さんとお姉ちゃんにお願いしました。
悪いのは私です。
だから、お母さんやお姉ちゃんを恨まないでください。
あなたがこれを読んでいる時、私はたぶんそこにいません。
でも悲しまないでください。
私は嬉しいんです。
あなたが道を見つけて、あなたの本当の実力に合った大学に行って、そしてあなたの将来が明るいことが。
だから、せっかく受かった大学に行かないとか、道をあきらめるとか、そういう事は絶対にしないでください。
きっと私のことを知らない誰かが、私の人生を見たら、それを不幸だったと言うと思います。
でも、そんな事はありません。
世界で一番大好きな人に出会えて、その人に愛されながら死んでいける人がどれくらいいると思いますか?
そして、私はその大好きな人の将来が明るいものだと確信できているから、とても幸せなんです。
最後に、あなたに命令します。
この手紙は焼きなさい。
そしてあなたが私に教えてくれたように、人の好意は素直に受けること。
これを守らなかったら、あなたのところに化けて出てあげないからね。
女より