「しんちゃんって不思議な人だよねっ」
「そうだね。お調子者でいつも元気で、頭の回転早くて、いつもみんなを楽しませてくれて」
「しんちゃん、やさしくて正義感あるしね!ボクが苛められて泣きながらしんちゃんに電話したときもずっと話を聞いてくれたし」
「うんしんちゃんは優しい人よ。一緒にいて安心できるし、そばにいるだけで笑顔になれるの」
「しんのすけはみんなから愛されてるなー」
僕は心からそう言った。
「僕さ、思うんだ。しんのすけがいなかったらきっと高校なんかも別々で、それぞれ友人作ってバラバラになってたような気がするんだ。しんのすけは本当に凄い奴だよ」
「うふふ。なんかみんなおにいちゃんのこと誉めてくれるから、なんかくすぐったいや。でも、あの人の妹でいるのはすごく大変なのよ」
ひまわりちゃんは苦笑しながら公園の入り口に目を向けた。
しんのすけはあらわれない。
「去年ね、うちで飼ってたシロが死んだでしょ。ちょうど春休みで。シロが突然寝たきりになったとき、率先してお世話していたのはおにいちゃんなの。シロは自分の力で立つことも動くことも食べることも出来なくなって、それをらおにいちゃんが一生懸命お世話してたの。自分の部屋に入れて、からだが冷えないように暖めてあげたり、オムツを交換してただれたおしりに薬塗ったり。注射器ですこしづつ餌やお水与えたり。シロガ、クーンとなくと何を訴えているのか、わかるみたいに色々お世話していたんだ」
「春休みがおわる前日の昼に、みんなで看取られる形でシロは息を引き取ったんだけど、私たちが悲しむなか、おにいちゃんは泣きながらも頑張ったね偉かったぞって、シロの小さくなった亡骸を、抱えながらそういってた。おにいちゃんは本当にシロのことすきだったんだなーって、その時すごく思った。シロもこんなに愛されてしあわせだったんだろうなーって私もおにいちゃんのこと大好きよ。色々振り回されて疲れてしまうこともあるけど、おにいちゃんの妹でよかったって思うの」
そういって照れ笑いをしてまた公園の入口を見つめる
みんなで集まって30分以上経過しているのにしんのすけはまだあらわれない
「しんのすけ、おそいなー」
少し不安になり電話をかけようと携帯を取り出したとき
「おーまーたーせー」
としんのすけが走ってきた。