「おにいちゃん遅い!」
「そうよ、心配したんだからね!」
「ごめんごめん」
ひまわりちゃんとネネちゃんにブーブー言われて困ったようにしんのすけは頭を掻いていた。
「ところで、それ、なに?」
ボーちゃんがしんのすけの持ってる紙袋を指さした。
「これ?………ジャーン!夏の風物詩の花火ぃー。俺思ったんだよ。花火大会には行ったけどこういう手持ち花火をしていないことに!で、記念に写真もってことで、カメラも持ってきた。ポラロイドだぞ」
僕たちはしんのすけの持ってきた花火を楽しんだ。
みんなでたくさん写真を撮る。
花火はあっという間に終わる。
「あのさ、俺、もうひとつやりたいことがあるんだ。俺、本当にこのメンバーが好きなんだ。今年の夏はスゲー楽しかった。絶対忘れたくないし、忘れないでほしいって思った。それでどうしたらこの夏の思い出をとっておけるだろうと思ったらこれが浮かんで……。なんていうのかなー タイムカプセルってやつ?あれだったら今年の夏をそのまま保管できる気がして……俺たちの過ごした証っていうか……この夏俺たちは一緒にいたんだよって…」
しんのすけのしんみりとした口調。寂しげな表情。
どうして彼はこんなにも悲しそうなのだろう。
「タイムカプセルいいと思う!」
「うん、素敵よ」
「おもしろそうっ」
「しんのすけにしてはいい考えだ」
「賛成賛成ー♪」
みんなが口々にタイムカプセルを作ることに賛同した。
しんのすけは安心した表情になった。
「よかった。でさ、タイムカプセルっていうのは手紙が付き物だろう。俺は先に書いてきたからみんなにも書いてほしい。別に誰にあててもいい。自分でも、みんなにあてた手紙でも。俺は埋める穴を掘ってるからその間に書いてて」
そういいながらしんのすけはみんなに、便箋とペンを配る。
「しんのすけ、タイムカプセルはいつ開けるんだ?」
「うーん、そうだな。……10年後。10年後の今日に開けよう」
「よしこれでいい」