男は過去を話し始める
女「もう講義終わりましたよ?」
男「あ、ああ」
・・・外を見ていた。
空はいつのまにか茜色をしていた。
時計を見ると5時近い。
講義はとっくに終わっていたようだ。
3階41講義室に残っているのは、オレと、オレに話しかけてきた女だけだった。
男「あ、すみません。ちょっとボーっとしてました。もう帰るんで」
女「あの・・・余計なお世話かもしれませんけど、そのまま外にはいかない方がいいと思いますよ」
男「えっ?」
なぜだか分からないが、シャツの襟が濡れていた。
男「・・・すみません」
女「あの・・・結構前から気になってたんです。全然講義聞いてないみたいですし、あまりに・・」
男「いえ、大したことじゃないんで大丈夫です」